In the event of any default or breach of any provisions hereof by either of the parties hereto, if such default or breach is not cured within thirty(30) days after the non-defaulting party’s written notice thereof, the non-defaulting party shall have the right to terminate this Agreement by giving written notice of termination.
この「不履行側当事者」は、non-defaulting party ですので、「非不履行側当事者」の誤りです。
「非」「不」と、否定後が二つ重なってしまうため、変なことになってしまいました。
「非不履行側当事者」の代わりに、「不履行を行っていない当事者」とか、「違反のない当事者」などとしてもかまいません。
解説を読んで混乱してしまった読者がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
さて、気を取り直して、前回の宿題を。
【例文】
Confidential Information does not include any information that (i) is or becomes generally available to and known by the public (other than as a result of an unpermitted disclosure directly or indirectly by the Receiving Party or its affiliates, advisors or representatives); (ii) is or becomes available to the Receiving Party on a nonconfidential basis from a source other than the Disclosing Party or its affiliates, advisors or representatives, provided that such source is not and was not bound by a confidentiality agreement with or other obligation of secrecy to the Disclosing Party; or (iii) has already been developed, or is hereafter developed, independently by the Receiving Party without violating any confidentiality agreement with or other obligation of secrecy to the Disclosing Party.
【訳例】
本件機密情報には、次の(i)~(iii)に該当するいかなる情報も含まれない。(i) 一般の人が利用可能である、もしくは公知のものである、またはそのようになるもの(ただしかかる状況が、受領側当事者またはその関係者、アドバイザー、もしくは代表者によって、直接的または間接的に、未許可の開示が行われた結果である場合を除く) (ii) 開示側当事者またはその関係者、アドバイザー、もしくは代表者以外の情報源から、機密保持の条件を付されずに、受領側当事者の利用できるもの、またはそのようになるもの。ただし、かかる情報源は、機密保持契約またはその他の秘密保持の義務によって開示側当事者に拘束されていない、かつ、されていなかったことを条件とする。(iii) 開示側当事者との機密保持契約またはその他の秘密保持の義務に違反することなく、受領側当事者によって独自に、すでに開発されていたもの、または今後開発されるもの。
長いですが怯まなくても大丈夫。
まず、(i)~(iii)の部分を主節から切り離してしまいます。
is or becomes のように、動詞の時制を変えたもので同じ句を共有する表現は、構成をよく見て、訳文のほうでもなるべく長ったらしくならないように工夫します。
またprovided that なども後から訳して。
==========
さて、今回の本題です。
簡単そうなのに訳しづらい表現。
◆and と or
法律文に限らず、非常によく使用される and と or ですが、意外にこれを上手に訳せていないことが多いようです。
これはおそらく英語の and と or のせいではなく、日本語の法律文書における and と or の訳語に相当する言葉、すなわち「及び」「並びに」と、「又は」「若しくは」の使い方にルールがあるせいでしょう。
このことはご存知の方も多いでしょうが、いまいちどおさらいをしておきましょう。
Any and all costs and expenses arising in connection with this Agreement shall be exclusively borne by the Company, including but not limited to legal, consulting, tax and accounting costs and disbursements and any other external advisors costs and expenses
最初の Any and all の部分は、「すべての」という意味なので、ひとつにまとめてしまいますから、and は無視します。
次、costs and expenses は、2つの並列ですね。なので「及び」です。読点はいりません。
その次、legal, consulting, tax and accounting costs and disbursements はちょっとややこしいです。
最初の and で並列されているのは、legal、consulting、tax、accounting の4つで、どれもcosts と disbursements にかかります。同等の並列なので、「及び」になります。読点を使ってください。
後半の costs and disbursements も、costs and expenses と同様、2つの並列なので、読点を用いずに「及び」でつなぎます。
最後の and any other external advisors costs and expenses です。
ここの最初の and は、直前の costs and disbursements と、最後の external advisors costs and expenses を並べていて、2段階になっています。「A及びB、並びにC及びD」のパターンですね。
大体ご理解いただけたかと思います。
このように、同じ and の訳なのに日本語では「及び」と「並びに」分けることで、並べられている要素同士の関係を示すことができるのです。英語ではその関係性を文脈や構文から判断します。
慣れてしまえば、いちいち上のように分解して考えてみなくても、すらすらと使い分けができるようになるでしょう。
では、宿題です。
Seller shall indemnify, hold harmless, and at Purchaser’s request, defend Purchaser, its affiliates and subsidiaries, officers, directors, and employees, customers, agents and representatives, and those of its affiliates and subsidiaries, against all claims, liabilities, damages, losses and expenses, including attorneys’ fees and cost of suit arising out of or in any way connected with the Goods provided under this Agreement.