【例文】
1 Any institution or practice whereby a child or young person under the age of 18 years, is delivered by either or both of his natural parents or by his guardian to another person, whether for reward or not, with a view to the exploitation of the child or young person or of his labour.
2 Licensee understands and agrees that neither Data as a whole nor any portion thereof shall be released or sold to any party whosoever including, without limitation, the general public, and is for the sole use of Licensee.
【訳例】
1 何らかの制度また慣行で、これによって子どもまたは18歳に満たない者が、報酬と引き換えであるか否かにかかわらず、その子どももしくは18歳未満の者またはその労働から搾取する目的で、生みの親または後見人のいずれかもしくは両方によって他の人に引渡される場合。
2 ライセンシーは、本件データの全てまたはその一部が、一般の人々を含めこれに限定されず、いかなる相手であろうと提供または売却されることはなく、ライセンシーのみが利用できることを了解し、これに同意する。
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1は、Supplementary Convention on the Abolition of Slavery, the Slave Trade, and Institutions and Practices(奴隷制度、奴隷取引並びに奴隷制度類似の制度及び慣行の廃止に関する補足条約)の一部で、slavery に類似するものの説明部分です。その全文は国連人権高等弁務官事務所のサイトhttp://www.ohchr.org/english/law/slavetrade.htmで見ることができます。
whereby の訳し方は、後ろから「~である制度または慣行」と訳すとごちゃごちゃした不自然な表現になってしまうことも多いので、訳例のように頭から訳しおろす方がいいでしょう。
2は、whosoever の例文ですが、any party を強調しているのでそれが分かるような自然な表現にすれば間違いありません。
◆ 条件を示す表現
条件を示す表現でもっとも多用されるのは if や when でしょう。これらは節を作り、「もし○○が……ならば/のときは」という意味になるので訳しにくくはありません。
法律文書、とくに契約書ではその他に、「~を除き」「~の場合以外は」「~でないかぎり」「~であろうと(なかろうと)」「~にもかかわらず」「ただし、~の場合はその限りでない」といった訳/意味になる定型的な表現がいくつかあります。いくつか例を挙げて見ていきましょう。
◆ except as /where, unless
これらは「~の場合を除き」「~しないかぎり」という意味のものです。
otherwise と一緒に使用されることも多いです。
このパターンは定型的なものなので、このまま覚えてしまいましょう。
【例文】
1. Except as provided otherwise herein, any notice given under this Agreement will be made in writing by email and will be effective on the business day after it is sent.
2. Unless otherwise expressly agreed herein, all copyrights of English Materials shall be reserved by the Company.
【訳例】
1. 本条において別段の定めがある場合を除き、本契約にもとづき付与される通知は、電子メールによる文書で作成され、それが送信された営業日に発効する。
2. 本契約において明確に別段の合意がないかぎり、本件英語資料のすべての著作権は、本件会社によって留保される。
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1. の provided は「付与する/提供する」の意味のほうではなく、「定める/規定する」の意味です。
Except as や Unless の後は主語と動詞のある節ではありませんが、日本語訳では節のように訳したほうが自然で訳しやすいでしょう。1では「~がある場合を除き」と回りくどく直訳せずとも、たとえば「別段の規定がない場合」のような訳し方でも構いません。
◆ unless and until
こんどは条件が2つです。
「~しないかぎり、かつ~するまで」と訳します。
【例文】
This Agreement shall not be binding and effective upon the Department unless and until approved by the Attorney General and the Comptroller of the State of New York.
【訳例】
本契約は、ニューヨーク州の司法長官および会計検査官によって承認されない限り、かつ承認されるまで、本省を拘束せず、これに対して有効ではない。
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「承認されること」を1つの条件とし、さらに「承認されたときから」という時間的な条件も盛り込まれています。
◆ save as provided in ~
この表現は、in の後に具体的な条項ナンバーが入るものです。
「~に定められている場合を除き」という意味です。
【例文】
Save as provided in Clause 9, the Licensor shall not be liable to the Licensee either in tort, contract or otherwise whatsoever for any loss, damage, injury or expense howsoever arising out of or in connection with the supply or use of Product or the manner of performance of this License.
【訳例】
第9条に定められている場合を除き、本件製品の供給もしくは使用または本ライセンスの履行の方法からどのように発生しようともまたは関連しようとも、いかなる損失、損害、傷害、または支出についても、ライセンサーは、不法行為法、契約法、またはその他のいずれにおいてもライセンシーに対して責任を負わない。
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最近とりあげた表現のオンパレードですね。
save as provided in ~も、このまま覚えてしまってください。
次回も引き続き、その他の「条件を示す表現」をみていきます。
では宿題です。
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