Tradosとぼくと幕間劇 その2
みなさまこんにちは。
本日も本ブログをご覧くださりありがとうございます。
本日はTradosに関する失敗談をひとつ紹介したいと思います。
少しややこしい話ですが、お付き合いいただければ幸いです。
翻訳メモリの更新失敗
以前とあるクライアントから翻訳メモリの更新とそれを用いた翻訳の依頼をいただきました。先方の指示としては前回資料のバイリンガルファイルがあるので、そのファイルをメモリ化して今回のファイルに当てはめてほしいとのことでした。
これだけの指示であれば、問題なくすぐに対応できます。ただ、先方の指示はまだ続きます。バイリンガルファイルは用意してあるが、最終版はWordファイルで編集しているので、変更個所をバイリンガルファイルにも反映してほしい、とのことです。
クライアントの依頼の意図もよくわかります。最終確認はオリジナルのレイアウトで作業をしたいですし、誰しもがTradosを使えるとは限らないので。ただ、この修正箇所の反映作業が非常に面倒くさい。数百にもおよぶ変更個所を一つ一つ確認しながら、バイリンガルファイルにちまちまと修正を反映させていく作業が何日も続きました。今思えば、それだけ大量の修正箇所があるのであれば、既存のバイリンガルファイルから修正することはあきらめて、翻訳メモリを作り直したほうが早かったのではないかと思います。そうこうしながらも、何とか反映作業を終え、すぐに翻訳メモリの作成作業に取り掛かりました。しかし、これが勇み足でした。
Trados上で「翻訳承認済み」ステータスとなっている文節であっても、再編集した場合、「未確定」のステータスに変更されます。そして、翻訳メモリ更新のデフォルト設定では「未確定」の文節を“含まない”となっています。感の良い方はお気づきかもしれませんが、「未確定」ステータスのまま、翻訳メモリの更新作業を行い、修正版の翻訳メモリを作成いたしました。結果としてここで作られたメモリは本来予定していた「最終版のメモリ」ではなく、既存のメモリと変わらない「修正反映前のメモリ」がただ再生産されただけでした。私はこのメモリを使って翻訳者さんに翻訳をお願いした結果として出てきた訳文は当然「修正反映前の訳文」です。
最終的にどのように修正したのかはうろ覚えですが、翻訳者さんの訳文と再度更新しなおした「最終版のメモリ」を使用して一文ずつ再チェックをしていたと思います。
あまり参考となる失敗ではないかもしれませんが、昔の私のように泣きながら作業することにならないように皆さまもシステムの操作にはお気を付けくださいませ。