Tradosとぼくと豆知識①
皆様こんにちは
いつも本ブログをご覧くださりありがとうございます。
本日は大きなテーマがあるわけではなく、Tradosで作業するにあたっての、知っているとたまに役立つ豆知識を紹介していきたいと思います。本当は1本の記事で3種類ほど紹介する予定だったのですが、一つ目の内容が思わず長くなってしまったので、残りの豆知識についてはまた後日ご紹介します。
プロジェクトパッケージの中身
Tradosを使用する場合、依頼元(翻訳会社等)と翻訳者の間でのファイルのやり取りは通常、「プロジェクトパッケージ」と呼ばれるファイルを使います。プロジェクトパッケージは大きく分けて2種類あります。一方は依頼元から翻訳者に送る「翻訳パッケージ」、他方は翻訳者から依頼元に返す「返却パッケージ」です。Trados内の処理に多少の違いはありますが、基本的な性質に違いはほとんどありません。また、これらのパッケージをTradosに取り込むことを「インポート」と言ったりしますが、このインポートもしばしばエラーの発生する工程です。送られてきたパッケージ、または送ったパッケージが無事にインポートできるかどうか不安になった記憶は数知れず。それはさておき、Trados使用者ならば普段から使っているこれらのプロジェクトパッケージは一体どのようなファイルなのか確認していきたいと思います。
実はプロジェクトパッケージは単純な圧縮ファイルの1種です。ファイル拡張子を「.sdlppx」(返却パッケージの場合は「.sdlrpx」)から「.zip」に変更するだけで標準的な解凍ソフトでも簡単に中身を確認できるようになります。さて、具体的な中身ですが、主には以下のファイルが含まれています。
- 原文・訳文のxliffファイル
- 翻訳メモリ
- 用語ベース
どれもTradosで作業をするためには欠かせないファイルばかりですね。パッケージの中身が分かったので、本日の豆知識はこれで以上です。と終わらせてしまってもいいのですが、せっかくなので、本日はもう一歩進んでこれらパッケージの中身の活用方法についても少し触れていきたいと思います。
- 原文・訳文の内容確認
Tradosの仕様上、新しいパッケージをインポートすると、既存プロジェクトの内容が上書きされてしまいます。そのため、Trados内で作業をした後で、オリジナルのファイルはどのような中身だったか確認したくとも、作業済みのファイルに上書きをしなければオリジナルのファイルを確認することができません。もちろん、確認作業のためだけに、作業済みのファイルの内容を消すことはできないですよね。そんな時、編集前のxliffファイルを入手することができれば、別のプロジェクトを立ち上げることで、編集前のオリジナルのファイル内容を確認することができます。(作業前のインポートしたてのファイルでバックアップを取っていれば、プロジェクトパッケージから取り出す必要はないのですが、毎回バックアップをとっておくのも手間がかかってしまいますので・・・)
2.インポートエラーが発生した場合の応急措置
プロジェクトパッケージのインポートもエラーの発生頻度が高い工程です。実際に私自身もこのインポートエラーで何度も地団駄を踏みました。翻訳者さんにお願いして、返却パッケージを再送してもらっても、やはりエラーが発生してしまう。エラーの原因もわからず途方に暮れてしまっている。せめて訳文だけでも取り出せないかと考え、パッケージのxliffファイルから訳文を取り出す方法を見つけました。詳しくは以前のブログで書きましたので、こちらをご参照ください。「Tradosとぼくとデータサルベージ」(https://www.hicareer.jp/trans/trados/18652.html)
今回はパッケージの中身の確認とその活用方法についてお話しました。Trados外でもいろんなファイルを取り出すことができるようになるので、今回紹介した例以外にも様々な活用方法があると思います。皆様もパッケージが送られた時点のファイルの確認をしたいときにはお試しくださいませ。