Tradosとぼくとデータサルベージ
みなさまこんにちは。
最近は本ブログを見たとの声を各方面から頂くことがありうれしい限りです。皆様の声を励みにこれからもブログの更新をがんばりたいと思います。
さて、今回は久しぶりにTradosの仕様について解説していきたいと思います。テーマはずばり、エラーが発生したプロジェクトからの訳文のサルベージです。訳文生成時にエラーが発生する。見たこともないエラーが発生している。などなど、Trados使用者であれば幾度となく壁にぶつかった経験があるかと思います。私も以前のブログで紹介したように訳文生成で泣かされた経験があります。(Tradosとぼくと訳文生成:https://www.hicareer.jp/trans/trados/17562.html)
先に言っておきますが、今回の方法では根本的な原因解決には至りません。エラーは解決できないが、訳文だけでもサルベージできないかという試みです。エラーの発生しているプロジェクトはばっさり切り捨ててしまい、さっさと新しいプロジェクトを使ってリスタートしてしまおうという考え方です。言い換えるならば、過去のプロジェクトから訳文のみを抽出し、新規プロジェクトに移行する方法とも言えるでしょう。
さて、それでは実際にどのような操作になるのか見ていきましょう。訳文データを新規プロジェクトに移行する方法は主に次の二つがあります。
- 翻訳メモリに翻訳データを書き出し、新規プロジェクトに流用する。
- xliffファイルから翻訳データを取り出し、新規プロジェクトに流用する。
1の翻訳メモリを使う方法はこれまでの説明してきた通りで、データベースに一度原文と訳文のペアを記憶させ、再活用する方法です。ただ、この方法だと一度データベース化されてしまうためか、書式の不一致などのいくつかのペナルティ項目に引っかかってしまう場合があります。また、実際に書式が原文と異なる場合もあります。そのため、翻訳メモリを活用したとしても再確認の手間がかかってしまうことが多いです。
一方で2のxliffファイルを使う方法はより精度高く訳文を再現することができます。その理由についてそもそもxliffファイルとはどのようなファイルなのかを考えながら探っていきたいと思います。xliffファイルは通称バイリンガルファイルとも呼ばれており、原文と訳文が対訳のペアとして保存されているファイルです。ここだけ切り取ると翻訳メモリとは何が違うのかと疑問を持たれた方も多いかと思います。私も両者の違いについて今一つ理解していない部分もあるのですが、SDLのブログによると「SDLXLIFFファイルにはテキスト情報だけでなく、文字のレイアウト情報やスタイル情報も記憶されています。」(引用元URL:https://www.sdltrados.com/jp/blog/What_Is_PerfectMatch.html)とのことです。イメージとしてはTradosのエディタ画面の情報をそのまま保存したファイルということでしょうか。という訳で、同一の原文に当てはめた時には、より多くの情報を持ったxliffファイルの方がより正確な訳文を流し込むことができます。個人的には9割5分ほど元の訳文通りに復元されている印象です。
具体的な設定方法については長くなってしまうので「Trados 完全一致の適用」などで検索してみてください。きっとキャプチャ画像付きで丁寧に解説してくれている素敵なブログがいくつか見つかると思います。
さて、本日は訳文のデータサルベージ方法についてお話ししました。xliffファイルを用いた「完全一致の適用」は本来、同一フォーマットの改訂版翻訳する際に使用されるそうですが、私は専ら訳文データのサルベージのために使用しています。ただ、もともとの原文自体がTradosと相性が悪い場合は新規プロジェクトを作成しても修復できない場合がありますので、お気を付けくださいませ。