Tradosとぼくと訳文生成
みなさま、こんにちは。
前回までの連載ではTradosの基本的な機能について説明してきました。内容が硬すぎるなどの意見もありましたが、Tradosを理解するうえで大切なお話なので、ぜひぜひご一読くださいませ。
さて、本日はTradosの訳文生成についてお話していきたいと思います。
産業翻訳では様々なファイル形式で依頼を頂くことがあります。最も多い形式はWordやExcel、PPTなどのMicrosoft Officeで作成された資料ですが、他にもPDFやInDesign、時にはXMLなどのマークアップ言語などの種々の形式で依頼をいただきます。
SDLの公式ウェブサイトによると実に70種類以上のファイル形式をサポートしているとのことです。
では、Tradosではこれら70種類以上のファイルをどのようにサポートしているのでしょうか。Tradosではどのようなファイル形式であれ、一度原文ファイルをTrados用のファイル形式(.sdlxliff)に変更してTrados上で作業をできるようにしています。翻訳作業が完了するとTrados用のファイルから元の原文のファイル形式に再変換します。
以下のようなイメージですね。
さてここで、翻訳コーディネーターや翻訳者の頭を悩ませるのがTradosから原文ファイルへ再変換する「訳文生成」の工程です。
Tradosを使ったことのある方であれば、わかっていただけると思いますが、この訳文生成こそエラーが多発する工程なのです。エラーの原因としてはタグの変更間違え、ファイル名の文字化け、原文ファイルとの対応関係の崩れ、原因不明のエラーなどなど多数あります。
エラーの候補が多すぎて何が原因なのか特定するだけでも一苦労です。
翻訳からチェック作業まで完了して、あとはレイアウトを確認するだけと思って、Tradosから訳文生成をしようとすると、まさかのエラーメッセージ。納品まであと2時間。焦れどもあせれども訳文生成は上手くいかず、時間がながれていくばかり。
Tradosでエラーが発生した場合は、とにかく調査と手数を打つことが大切だと思います。SDLのコミュニティサイトや翻訳者さんの個人ブログなどでも様々なエラーへの対処方法が紹介されています。
ウェブで検索してもわからないときには先輩コーディネーターやTradosの得意な翻訳者さんに泣きついて、こっそり裏技や力技での解決方法を教えてもらっています。
ほとんどのエラーはこの過程で何とか解決するのですが、どうしても解決できない場合はTrados画面上で作業した訳文を一文ずつ原文ファイルにコピペしていく作業となります。
単純作業なうえに、かなりの作業時間がかかってしまうため、コピペはなるべく避けたいですね。
今回はTradosに振り回される一面を紹介しましたが、こうしたエラーが発生するリスクを負ってでも使用したくなるメリットのあるソフトウェアなので、ぜひぜひ皆様も素敵なTradosライフをお過ごしくださいませ。
※本ブログはコーディネーターの個人的な解釈に基づいています。
Tradosに関する公式情報は以下販売元のSDL社HPをご覧ください。
SDL Trados Studio 製品ページhttps://www.sdltrados.com/jp/products/trados-studio/
SDL Trados Studio紹介ブログhttps://www.sdltrados.com/jp/blog/category/sdl-trados-studio.html