第317回 出版翻訳家デビューサポート企画レポート71
出版翻訳家デビューサポート企画レポートをお届けします。今回ご紹介するのは、アーティストの評伝を持ち込んでいるIさんです。Iさんは出版がほぼ決まったも同然の状態でしたが、そこから編集者さんとご連絡が取れなくなり、企画を引き上げるというまさかの展開になっていました。
人によっては立ち直れないかもしれない状況ですが、Iさんはすぐに動き出しました。出版社のイベントに参加して、K社の編集者さんに企画書をお渡ししたのです。
Iさんは、事前にその編集者さんの手がけられた翻訳書を読んでいました。それがシリアス系のノンフィクションだったことや、今後手がけたいジャンルについて編集者さんが言及していた情報から、ご関心と重なるのではと考えたのです。
また、ご本人がアートに興味がありそうに思えたことや、Iさんの選んだ原書の想定読者層である知的好奇心旺盛なタイプに該当することも、この編集者さんを選んだ理由でした。
お渡しした後、Iさんはお礼のメールをかねて電子版の企画書もお送りしました。けれども、それに対してのお返事はなく、その後しばらく待ってもご連絡はありませんでした。
そこで、フォローアップの時期と具体的な切り出し方について、Iさんからご相談がありました。先方としては、必要なら連絡をするので、そうでなければ連絡をするのは控えてほしいということなのではないか、こちらから連絡をするとかえって嫌われるのではないか、と悩んでいたのです。
Iさんには、編集者さんとお会いした時の印象などから、どのように感じられたかをお尋ねしてみました。というのも、この編集者さんの手がけられた作品を私もいくつか拝見してみたのですが、Iさんの企画とは匂いが違うように感じられたのです。編集者さんは好みがはっきりされているようなので、「これ」と思ったらすぐにアプローチをするように見受けられました。
Iさんによれば、正直なところ、少なくともお会いした時の印象では、あまり興味を持っていただけたようには感じられなかったとのこと。
それならば、1か月ほど経った時点でリマインドをお出しして、連絡がないのは採用されなかったという解釈でいいのかとお尋ねしてみることをおすすめしました。
リマインドしてみたところ、編集者さんからお返事がありました。企画書はまだ部内回覧中ではあるものの、少なくとも編集者さんご本人はお断りとのことでした。多少はご興味を持っていただけたらしいのですが、評伝というジャンル自体が売りにくいこと、K社の狙う市場規模には合いそうにないことがお断りの理由でした。
それでも、市場規模が違う出版社、つまり少部数で丁寧に本をつくる出版社であれば、興味を持ってくれるところもあるのではないかというアドバイスをしてくださいました。
部内回覧での他の編集者さんの判断を待って、次のステップを考えることになりました。……次回に続きます!
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