第304回 出版翻訳家デビューサポート企画レポート69
出版翻訳家デビューサポート企画第2期生のレポートをお届けします。第303回に引き続き、海外在住のMさんの進捗状況をお伝えしましょう。
自然科学絵本の持ち込みで、A社からお断りがあったMさん。早速次に持ち込みました。「もしA社がダメだった場合には次は〇社に持ち込む」とあらかじめ決めていたのです。A社での企画通過を願うことも大切ですが、ダメだった場合に次にどうするかを決めておくことで、すぐに行動に移れますし、精神的なダメージも抑えられると思います。
〇社では、持ち込みへの対応がシステム化されていて、一次審査を通過した場合には1か月以内にご連絡があるそうです。ご連絡がない場合はお断りということになります。
ここで、Mさんが不安になったのが、持ち込みのタイミングです。12月初旬に持ち込んだのですが、12月中旬以降は年末進行で出版社が忙しいことを考えると、編集者さんに嫌がられないかと思ったのです。また、年末のお休みを差し引くと実質1か月弱になってしまうことに気がついて、この点も心配になってきました。
出版社によっても年末進行の状況はそれぞれ違うので、一概にいつまでならOKとは言い切れないものです。年末近くまで立て込んでいるところもあれば、下旬には諸々手離れして余裕のあるところもありますし……。ただ、〇社の場合、持ち込みへの対応がシステム化されているようですから、検討期間の点で不公平にならないよう、そのあたりはきちんと考えてくださるのではないでしょうか。
年末進行に関連して、リマインドのタイミングについて別の方からもご質問がありました。悩ましいところですが、今の時期は避けたほうがいいかもしれません。というのは、編集者さんがまだ検討を始めていなかった場合、立て込んでいると、「面倒だからもうお断りしてしまおう」となる可能性があるからです。「今年のことは今年中に片づけてしまいたい」という心理が働いてしまうかもしれないんですね。
もちろん、一つひとつ丁寧に検討してくださる編集者さんであれば、こういうことはないでしょう。また、早めにお仕事が片づいて余裕があり、むしろゆっくり検討していただける可能性もないとは言えません。こればかりは、その出版社やその編集者さんの状況次第なので、難しいところです。
ただ、様子がわからない以上、立て込んでいそうな時期は控えて、むしろお正月休み明けに新年のご挨拶とともにリマインドしたほうが、いい結果につながりやすいのではと思います。お断りは、されるほうも精神的に負担ですが、するほうにも負担になるものです。そのため、編集者さんも、新年のほうが「新年早々断ることはしたくない」という気持ちが働くのではないでしょうか。
中には、「年内にはっきりさせて、ダメならダメで、早く次に進みたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。それなら今の時期にリマインドするのもいいのですが、これ以上待てないような精神状態でなければ、もうしばらく待ってみてはいかがでしょうか。
今年はお仕事をご一緒できることを楽しみにしている旨を添えて、期待をほのめかしつつ、新年のご挨拶をしてみるのもいいかもしれませんね。
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