第280回 出版翻訳家デビューサポート企画レポート57
出版翻訳家デビューサポート企画第2期生のレポートをお届けします。前回に引き続き、海外在住のMさんの進捗をレポートします。
持ち込みについてお問い合わせをしてもお返事をいただけなかった3社のうち、気になっていたA社にMさんは電話をしてみました。するとスムーズに編集者さんに取り次いでいただけて、その後メールで絵本パックの企画書と試訳を無事受け取っていただくことができました。
A社は現在多数の持ち込み企画を抱えているので、お返事には時間がかかるかもしれないとのことでしたが、まずは持ち込みを完了させることができました。あまりにスムーズにいったので驚きを通り越してショックだったというMさん。企画書と試訳をお送りしたメールアドレスも編集者さん個人のものではなく、以前に何度も送ったメールアドレスと同じだったそうで、「編集部〇〇さま」と個人名を添えるだけでこんなに対応に差が出ることにびっくりしたと言います。
この成功体験から、ノンフィクション絵本のほうも、以前にメールで問い合わせて返信のなかった出版社に電話をかけることを思い立ち、そのうちの1社であるZ社へ電話をかけてみたそうです。編集者さんが不在だったため代表の方に取り次いでいただき、メールで企画書と試訳を送ってくださいと言われてお送りしました。2、3日経っても受領した旨のメールがなく、再度お電話したところ、迷惑メールに入っていたようで、今度は編集者さんに転送していただくことができました。こちらの企画も、無事に持ち込みが完了したのです。
アプローチをかけた出版社の数に比べ、資料に目を通していただけるまで進んだ数が圧倒的に少なかったので、大前進だとMさんは喜んでいます。電話をするのは腰が重いので躊躇していたそうですが、話がスムーズに進み、確実に資料をお渡しするところまで行ける点が魅力的で、すっかりはまってしまったと言います。
持ち込みをしてもお返事がないと、そこであきらめてしまう方が多いと思います。さらに問い合わせのメールをするところまで気持ちを保てないのかもしれませんし、まして電話をかけるとなると、かなりハードルが高いのかもしれません。だけど、それだけに差が出るところなのではないでしょうか。
Mさんも、ひとりで持ち込みしていた時は、電話をするのも諦めてしまっていたと思うと言います。Mさんのように放っておいても自力でどんどん進めていけるタイプの方ですら、腰が重いことがあるんですよね。デビューサポート企画に参加したことで、否応なく(?)電話をかけざるを得なくなって、それが結果につながりました。
これはダイエットでも英語学習でもなんでもそうだと思うのですが、やろうと思っても、自分ひとりだとなかなかやらないものなんですよね。だけど、たとえばトレーナーをつけて定期的にトレーニングを受けたり、食事の内容を見てもらったり、人にチェックされていると、やらざるを得なくなるんですよね。
電話でのアプローチでこれだけ効果があることをMさんが実証してくれましたので、同じような状況にある読者の方には、ぜひ真似していただきたいと思います。もちろん、腰が重いでしょうから、「今週中に出版社に電話するから、週末になったら『もう電話した?』って訊いてね。もしかけてなかったら、ちゃんとかけるまでしつこく訊いてね」と親しい方にお願いするなどして、やらざるを得ない状況をつくりましょう。
Mさんは、お返事待ちの時間を活かして、これから新しい絵本を翻訳しつつ、A社がダメだった時にB社にすぐに郵送できるよう、絵本パックの資料をプリントアウトして準備する予定とのこと。ノンフィクション絵本のほうも、お返事がなかった出版社がまだ数社あるので、Z社がお断りの際はそちらに電話してみるということでした。うまくいかなかった場合にどうするかをあらかじめ考えて具体的な行動まで計画しておくと、精神的なダメージも抑えられますよね。こんな対応も見習いたいところです。
また追ってレポートしていきますね!
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