第279回 出版翻訳家デビューサポート企画レポート56
出版翻訳家デビューサポート企画第2期生のレポートをお届けします。今回ご紹介するのは、海外在住のMさんです。
実は、Mさんには以前に出版翻訳コンサルティングを受けていただいたことがあります。その時のことはとても印象に残っていました。というのも、通常は1冊のご相談を受けることを想定しているのですが、Mさんはなんと、5冊分もの企画をご用意されていたのです。
1冊の準備ですら大変な労力が必要ですから、それだけ準備をするのは相当ハードだったはずです。企画書も試訳もレベルが高く、すでにご自身でも精力的に持ち込みを続けておられる中で、コンサルティングを受けていただいたのでした。
そんなMさんは、今回の応募のために、さらに新しい作品の企画書と試訳をご用意されたとのこと。
正直なところ、お受けするべきかどうか悩みました。Mさんのレベルで翻訳ができて、これだけのバイタリティがあれば、放っておいてもデビューは時間の問題だと思ったからです。私がサポートさせていただく余地があるのかどうかを考えました。
ただ、Mさんによれば、お断り件数が2桁に上って精神面でもモチベーションを保つのが難しくなっていて、一緒にがんばる仲間ができたら心強いとのこと。たしかに、第1期生を見ていても、お互いのがんばりに力をもらえるという側面は大きいように感じます。サポート企画参加者のオンラインでの交流に加わっていただくことも含め、心理的なサポートは提供できると考えました。
また、すでに多数の出版社に持ち込みをされているMさんですが、持ち込み先を確認すると、「まだこういうところは可能性があるかも?」と思える出版社も思いつきました。
そこで、新しい企画書と試訳をお送りいただき、そちらを拝見したうえで、すべての企画をどう進めていくかをZOOMで話し合いました。
以前にコンサルティングをさせていただいた複数の企画のうち、1冊はノンフィクション絵本、4冊はMさんがお住まいの国の昔話の絵本です。昔話については、これらを「パック」として持ち込みたいとのこと。
今回の新しい企画は創作民話で、女性の活躍や子どもの尊重といったテーマからもアピールできる内容ですので、この作品だけを別に持ち込んでいくこともできます。ただ、もしパックのほうがうまく進めば、そこに組み入れたほうがいいかもしれません。
そこでパックの持ち込み状況を確認すると、これまで7社に持ち込んで4社からお断りがあり、3社からはお返事がないとのこと。Mさんは3社のうちA社のことが気になっているそうなので、電話をして確認してみることになりました。その際、海外からの電話であることをお伝えするようにMさんにはお願いしました。
海外在住だとどうしても不利だと思いがちですが、電話ひとつとっても、出版社に海外から直接かかってくることは意外と少ないものです。それだけでもインパクトを残せるので、海外在住であることをできるだけ活用するようにお伝えしました。
また、Mさんの情報によると、B社では各国の昔話に焦点を当てて今後刊行していくそうです。郵送でなら持ち込みを受け付けているそうなので、ここでも海外在住であることを活かせるように、海外から送ることにしました。応募作品として絵本のパックが海外からドーンと届いたら、やはりインパクトがありますよね。
まずはA社に電話をして反応を見て、企画書や試訳を見ていただけそうだったら進める、脈がなければB社に持ち込む、ということになりました。
また追ってレポートしていきます!
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