第254回 翻訳絵本の持ち込みプロセスを公開します⑧
年内最後の更新になりました。今年は出版翻訳家デビューサポート企画から、よしとみあやさんを含め3名の方々の企画通過が叶い、喜びあふれる年になりました。現在挑戦中の方々も、それぞれにいい方向に向かっているので、来年はまたうれしいご報告ができるのではと期待しています。
私も、4年越しの企画がようやく方向性が見えてきたので、もうひとつ残っていた翻訳絵本のほうを年内に進めておきたいと思いました。
M社からのお返事がまだだったので、リマインドしようと思いながらも、なかなかタイミングがつかめずにいました。リマインドのタイミングについては第216回の「リマインドは朗報とともに」をご参考にしていただけたらと思いますが、一般的なタイミング以外に、自分自身のタイミングもあります。それは単に多忙かどうかだけではなくて、物事の流れに関するものです。何も星占いや風水に頼るわけではありませんが、物事がすんなり進む時と、滞ってしまう時がありますよね。その流れを見るようにしているのです。
本当は仕事が落ち着いたタイミングでリマインドしたかったのですが、その時期は流れがあまり良くありませんでした。そういう場合は動かないほうが正解だと思い、しばらく待っていました。
それが最近になって身の回りの物事がいい方向に動き出したので、この波に乗ろうと思い、リマインドしました。きっとこれで年末に企画通過のご報告ができるはず……と期待したのですが、お断りのお返事でした(笑)
M社からの出版は難しいものの、何かできないか、と考えてくださっているうちに時間が経ってしまったとのことでした。残念な結果ではありましたが、やり取りさせていただいた際のご対応に人間的な魅力を感じ、何か別の機会にぜひご一緒させていただきたいという気持ちになりました。
実際、こういうやり取りって、出版社の方も覚えてくださっているものなんですよね。先日、以前に持ち込みをさせていただいた出版社の方と、とあるイベントでご一緒する機会がありました。その会場ではお話する時間がなかったのですが、翌日メールをお送りしたところ、その方も気づいていて、挨拶をしたいと思ってくださっていたのでした。この経験から、一つひとつのご縁を大切にしなくてはという思いを新たにしました。
ともあれ、お断りも13社目。こうなると、ネタのひとつになるというか、新たなステージに突入した感じで……自己紹介の際に使えるようになりました(笑)。すると、それを知って応援したいという方も出てくるんですよね。
私には悲壮感や落ち込みはないのですが、それはこの経験を活かせる当てがあるからかもしれません。「ここの出版社さんはこういうふうに対応してくれるんだな」とわかると、出版翻訳家デビューサポート企画の方々やコンサルティングをご希望の方々にお伝えできる情報が増えるので、「何かを失った」という気分にならず、「得るものが多かった」という気分になれるのです。
それに、断られ続けている方も、きっと私よりその回数は少ないでしょうから、励みにしていただけると思うのです。断られて落ち込みそうな時に、「いや、寺田さんのほうがもっと断られてるし、それに比べれば」と思っていただければ、次に進みやすくなるのではないでしょうか。
来年にはおめでたいご報告をするべく、年内のうちにできることはしようと、14社目の持ち込みを先ほど終えたところです。ChatGPTの提案した出版社ではなく、以前から気になっていたところに送ることにしました。結果は、また来年ご報告しますね。
現在持ち込み中の方は、もうひと踏ん張りできそうなことはやってみて、一緒に実りの年を迎えましょう!
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