第237回 翻訳絵本の持ち込みプロセスを公開します②
D社の編集者さんからのご連絡がなかなかありません。通常、その方の手がけた作品を拝読したうえでアプローチをした場合は、ご連絡があるものです。ていねいにお仕事をされるタイプの方のようなので、きっと時間がかかるのだろうと思い、長めに待っていました。
数か月待ってもご連絡がなかったので、D社のお問い合わせ窓口からご連絡してみたのですが、これにもお返事はなく……。再度プッシュしようか悩んだものの、お返事を必ずくださると思える方からお返事がないのは、もしかしたら子育てや介護など、ライフステージ的に身動きがままならない状況にいらっしゃるのかもしれません。そうすると、再度プッシュすることで精神的なご負担をかけてしまうと思い、差し控えました。
その後、『心と体がラクになる読書セラピー』『古典の効能』と自著の出版が続き、持ち込みのほうはそのままになっていました。
出版後の虚脱状態から回復し、また動き出したのが昨年の春のことです。友人の紹介で、絵本に詳しい元編集者さんにお会いすることができ、企画書と、試訳をつけた絵本を見ていただく機会がありました。
その方から、「この出版社だったら合うのでは」と3社をおすすめいただきました。ただ、そのうちの2社は以前に別の企画でお問い合わせをしたことがあり、持ち込みは受け付けていないことを把握していました。そこで残る1社であるE社にアプローチすることにしました。
教えてくださった元編集者さんはE社の社長さんと面識があるとのことでしたので、その方の紹介である旨を手紙に書き、企画書と自著などを参考資料として一緒に郵送しました。
2週間ほど経ってもご連絡がなかったので、年度替わりの時期で慌ただしかったのかもしれないと思いつつ、E社のお問い合わせ窓口からご連絡してみました。すると、なんと社長さんが年度末に退職されてしまったとのこと……。代わりに社内の方が郵便物を確認してお返事をくださったのですが、持ち込みは受け付けていないということでお断りでした。
社長さんに直接見ていただければチャンスがあるのでは……と期待していたので、がっかりしたものの、気を取り直して次を探します。
次にアプローチしたのはF社です。アート関連の本を中心に刊行している出版社で、以前に刊行作品を読んだことがありました。作品がおもしろかったので、その時にF社にも興味を持って公式サイトをチェックし、好奇心を持って仕事を楽しんでいる雰囲気に好印象を持っていたのです。あらためてサイトを確認すると、翻訳絵本は刊行されていませんが、翻訳作品自体はラインナップにあるので、対応していただけそうです。また、写真集なども刊行していることから、絵本の造本が問題になることもなさそうです。
企画募集の旨がサイトに明記されていましたので、刊行作品の感想とともに、既定のフォームから応募してみました。応募多数のためすべてにお返事できるわけではなく、1カ月以内にお返事がない場合はお断りだそうです。気長に待つつもりでいたところ、すぐにお返事がありました。絵本については実績がないものの、会社として興味を持っているジャンルとのこと。企画書を送ってくれれば社内会議で検討したいということでした。
早速お送りすると、2週間ほどでお返事があり……次回に続きます!
※本日発売の『認知症大全』の284ページ~285ページに取材記事が掲載されています。よろしければご覧くださいね。
※この連載を書籍化した『翻訳家になるための7つのステップ 知っておきたい「翻訳以外」のこと』が発売中です。電子書籍でもお求めいただけますので、あわせてご活用くださいね。
※出版翻訳に関する個別のご相談はコンサルティングで対応しています。