第231回 4年越しの企画がついに実現!⑦
4年越しで取り組んできた企画が介護情報誌での「連載の書籍化」という形で実現できることになり、初回の連載では特集を組んでいただけることになりました。執筆、校正……と準備を進めてきたこの特集号が、ついに発売になりました! 「認知症があるお年寄りと性について考える」という特集です。
まずは、「『その人』を中心としたケアとは」という、私がこれまで翻訳を手がけてきたパーソンセンタードケアについて解説するコーナーが4ページ。
これは、私が選んだ原書がパーソンセンタードケアに関するものなので、その前提を把握していただくためです。コーナーの最終ページではこの分野の翻訳書をまとめてご紹介していますので、特集号の読者に既刊本を知っていただく機会になるほか、読んだことがある方々にとっては、「あの本の延長線上にこの話があるのか」と認識していただけると思います。
続いて、「事例で学ぶ『認知症と性とウェルビーイング』」という、原書の内容を紹介するコーナーが11ページ。原書の第1章の中から強く印象に残った事例を3つピックアップし、事例紹介に加え、翻訳家の立場から日本の介護現場の状況に合わせて解説をしています。
このコーナーを読んでのご意見を、介護現場のオピニオンリーダーの方々が寄稿してくださっています。それぞれのアプローチがまったく違って味わい深く、この寄稿をいただけたことで、読者にぐんと近づけたように思います。
さらに、「私がこの本を翻訳したいと思ったワケ」というインタビューコーナー3ページでは、原書との出逢いや、連載に至るまでの経緯、原書のテーマなどについて語っています。
発売に合わせ、告知動画も公開されました。こちらでも原書のことや、介護分野の翻訳をするようになった理由、さらには「追っかけ」をしていた過去なども、お話をしています。
……という具合に、大きく取り上げていただいたので、日本の介護現場にいる潜在的な読者に向けて、「こんな本があるんですよ」とお伝えできたのではと思っています。
とはいえこれはまだはじめの一歩。これから連載を通して読者の関心を高め、「発売されたらこの本を買いたい」と思っていただけるように努めていかなくてはいけません。この道のりを思うと、一冊の本を出すのは大変なことだなあとあらためてしみじみしますし、先の長さにクラクラもしますが……今はひとまず、目先のやるべきことに集中しています。
何をしているかというと、PRです。今回の特集号を出すプロセスは、本を出すプロセスにも似ていて、発売後にやるべきことも類似しているんですね。出版後は本の存在を知っていただくためにPRをするのですが、今回も同様に、メディア関係者や業界関係者、ここまで来るにあたってお世話になった方々などへの献本を進めています。
これには、特集号をきっかけに連載媒体となる本誌「ブリコラージュ」を知っていただきたいという思いもあります。ブリコラージュは各号を単体でもお求めいただけますが、ベースは定期購読です。連載をきっかけに定期購読をしてくれる方が増えて、少しでも貢献できればと考えています。
こうして連載の書籍化がうまくいくと、出版翻訳のひとつのモデルを提供できるのではないでしょうか。学術書やニッチな分野の原書など、その分野の媒体での連載から書籍化につなげるモデルがあると、アプローチの方法も増えますし、出版翻訳をしたい方にとって可能性が広がるのではと思います。
また追って随時レポートしていきますね。
※ブリコラージュ特集号、ご覧いただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。
※この連載を書籍化した『翻訳家になるための7つのステップ 知っておきたい「翻訳以外」のこと』が発売中です。電子書籍でもお求めいただけますので、あわせてご活用くださいね。
※出版翻訳に関する個別のご相談はコンサルティングで対応しています。