第220回 出版翻訳家デビューサポート企画レポート㊻
前回に引き続き、現役医師のYさんの進捗をレポートしていきます。
編集者さんに電話をかけることに、Yさんは抵抗があるようでした。圧迫感を与えてしまうと思ったようです。ただ、それは編集者さんの携帯に電話をかけると考えていたからでした。会社のほうに電話をかけるようにお伝えすると、それなら何らおかしいことではないと、もうひと押しする気持ちになってきたようです。
まずは朝にリマインドのメールを送ったYさん。すぐにご返信はなかったので、その日の夕方に会社に電話をしました。編集者さんはいらっしゃいませんでしたが、電話に出てくれた方に事情を説明したところ、すぐに連絡をとって何らかのお返事をするように伝えてくれるとのことでした。
「とりあえず返事自体は早急にいただけそうだ」と思ったYさんですが、一週間近く待ってもまだお返事がありません。もう一度会社に電話をかけるべきかYさんからご相談があったので、もう一日だけ待ってみるようにお伝えしました。
というのも、前回Yさんが電話をかけたのは金曜日の夕方だったので、そのまま週末に流れ込んでしまった可能性が高いと考えたのです。週明けは急ぎの案件などもあるでしょうから、落ち着くのを待ったほうがいいでしょう。かといって金曜日になるとまた週末に流れてしまい、ずるずると先延ばしになってしまいかねません。そこで木曜日にご連絡をするのがタイミングとして最適だろうと判断しました。
すると、Yさんが電話をかける前に、編集者さんからご連絡がありました。Yさんの企画について、いろいろと考えてくださっていたとのこと。なかなかハードルが高いのが正直なところだけれど、Yさんの熱意も無視できず、何らかの形で力になれないかと思ってくださっているそうです。そして、話をするなかで解決のヒントが見つかるかもしれないからと、Yさんにお会いしたいと申し出てくださったのです!
メールでの検討だけならともかく、こうしてお会いする機会を編集者さんのほうからご提案いただくことはなかなかないと思います。これには編集者さんのお人柄もあるでしょうが、Yさんが粘り強くアプローチを続けて関係性を築いてきたことが大きいと思います。
お会いするにあたっては、Yさんのお仕事のことや本書への思いを忌憚なくお話して、編集者さんにご一緒に可能性を考えていただくのがいいと思いました。もしかしたら正攻法以外にも、まずは電子書籍で刊行してから評判を見て紙の本で出すなど、裏技もあるかもしれません。そのあたりは編集者さんのほうがきっとアイデアをお持ちでしょう。何よりもまずはYさんの真面目で熱意のあるところをそのままお伝えすれば、今後の方向性が見えてくると思いました。
実際に編集者さんとお会いしたYさんは、とても緊張していて内容はあまり覚えていないそうなのですが(笑)、原書との出逢いや原書の光ると感じる部分、翻訳してみたいと思った理由などを尋ねられ、お答えしたそうです。その結果、再度検討してくださることになりました。今後もやりとりを継続していくことになったので、まずは一歩前進ですね。
また進展があり次第、レポートしていきます。
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