第210回 祝・企画通過! 出版翻訳家デビューサポート企画レポート㊶
今回は、うれしいご報告です。第169回「出版翻訳家デビューサポート企画レポート⑬」でご紹介したAさんの企画が通りました! その道のりをご紹介しましょう。
X社に企画をお送りしていたAさん。作品は評価していただけたものの、物語の結末部分が性急な印象で、十分に書き切れていないのではという理由から見送りとなってしまいました。
この物語は登場人物に生じる心の変化を描くことが主眼だから、著者はあえてわかりやすい結末を提示しなかったとAさんは捉えていました。そのため、書き切れていないという評価に驚いたそうです。
物語の終わり方というのは、好みが分かれるところです。「余韻があっていい」と捉えるか、「書き切れていない」と捉えるか……。でも、自分とは違う捉え方を知ることができたので、「そう評価する人もいるかもしれない」という前提で情報を盛り込めるため、企画書を充実させられます。
X社の編集者さんは、時間をかけて検討してくれたことがわかる丁寧なメールをくださったそうです。それを励みに、Aさんは別の出版社に企画を送るも、断られることが続いてしまいます……。
「これまで出版を断念したことがあるか、あるなら何をきっかけに断念したか」を尋ねるメールを私に送ろうかとAさんが真剣に考え始めた頃、ちょうど第202回「出版できる人、できない人」の記事が掲載されました。
その記事に背中を押され、もう一度気持ちを奮い立たせて企画書を送ったところ、試訳を読みたいと連絡があり……見事、企画が通ったのです!
「めちゃめちゃうれしいのですが、信じられない気持ちもあります」というAさん。うれしすぎる反動なのか、「出版社がつぶれてしまって本が出なかったらどうしよう」などと考えてしまうとか。「そう簡単にはつぶれないので、ご安心を」とお伝えしています(笑)
「今回のハイキャリアの企画を通じて寺田さんから企画の持ち込み方はもちろん、持ち込みにまつわるスピリットのようなものを教えていただきました。そのおかげで以前とは違う心持ちで企画書を送ったり、出版社に連絡を取ったりできるようになりました。さらには別の企画も前に進めることができるようになり、心より感謝しています」というAさん。そう、今回応募いただいた企画以外にも、ご自身で次々に進めていらっしゃるのです!
その別企画も、積極的なアプローチの結果、企画書だけでなく試訳も編集者さんに読んでいただけることになったそうです。さらには、また別の企画まで! そちらは近いうちに企画書を完成させて、今回ご縁ができたX社に送ろうと考えているとのこと。お断りがあったと伺った際に、「先方もAさんのお名前を認知してくださったでしょうから、今後他の企画をお送りする際の候補になさってくださいね」とお伝えしていましたが、そうやってアプローチしようと思えるようになったところに、Aさんの成長を実感します。「謎ルール」でご自身を縛っていたのが、はるか昔のことのようです……。
「フットワークの軽さとか使える手段は使う心構えとか、とても助けになりました。今回のハイキャリアの企画に応募する前も出版社に持ち込みをしていたのですが、対応してくださる出版社の方の態度が(ハイキャリアの企画)以前と以後で随分違っていて、この違いは何? と内心驚いています」とのことですが、きっとAさんのマインドの違いが大きく影響しているのでしょうね。
この企画に応募する前は、企画書を出版社に送ってもお返事がない、あってもお断りばかりという状況が続いていたそうです。やがて、企画書を送っても、どうせうまくいかないと思うようになり、気づけば最後に本を出してから10年以上が経っていたというAさん。そんなAさんがご自身の殻を破って行動し、みるみる変わっていくご様子を拝見できたことは、とても幸せでした。
見事に夢をかなえたAさん、本当におめでとうございます!
もう一冊についても、きっといいご報告ができることでしょう。こちらのほうも、引き続きレポートしていきますね。
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