第153回 特別企画:出版翻訳家デビューをサポートします!
「今年こそは出版翻訳家デビューの夢をかなえたい」という方をサポートするために、特別企画をご用意しました。
何をどうすればいいかは、これまでこの連載でお伝えしてきました。企画を受け付けてくださる編集者さんの情報も提供してきました。必要なものは揃っている状態なので、あとはそれを活用していただければ、着実に夢の実現に向かうはず……。とはいえ実際に動いてみると、思ったようにうまくいかないこともあるでしょう。
そこで、以下のようなサポートを提供していきたいと思います。
・企画書や原書を拝見してアドバイスする
「このままだと難しいけれど、こういう切り口ならいけるのでは?」「こういう文脈をつくって、その中に置いてみては?」「この本ならこういう出版社が得意なのでは?」など、アドバイスいたします。行き詰まっていた方も、違う視点からのアドバイスで突破口を見つけられるかもしれません。
・編集者さんをご紹介する
お付き合いのある編集者さんの中で、「この企画は○○さんが関心があるのでは?」と思う方がいたら、ご紹介します。お話をつなぐところから、プレゼンの際に立ち会うところまでフォローします。知らない編集者さんにひとりで持ち込むのは勇気がいりますが、こういうサポートがあれば、あまり緊張せずにできるでしょう。私に伝手があるのは福祉関係の専門書やビジネス書、実用書が多いのですが、他のジャンルでも、そのジャンルに伝手のある方に私からお願いする形をとれると思います。
・プレゼンの準備の相手をする
自分ひとりで企画のプレゼンを準備していると、意外と抜け落ちている視点があるものです。自分の熱い思いだけを語っていて共感を得づらい形になっていたり、必要な情報が抜け落ちていたり。そこを客観的に指摘できると思います。
・リミッターを外す
実はこれが私にできるいちばん大きいことなのかもしれません。自分で自分にリミッターを設定してしまっている方が多いと感じています。それは無意識の場合が大半なので、なかなか気づけないものです。「自分には無理」とどこかで思っていると、それがいびつな形で出てしまうのですね。「せっかくいい企画なのに、どうしてこんなふうにしてしまうんだろう?」というような、自分で自分を損なうほうに動いてしまうのです。たとえば、AとBのアプローチがあったときに、絶対にAのほうがうまくいくのが目に見えているのに、Bのほうを選んでしまう。しかも、その選択のいびつさがまったくわかっていない、というように……。そんなリミッターを外していきます。
私は都内在住ですので、感染状況にもよりますが、お会いできる方には実際にお会いして、難しい場合はオンラインで、ご相談に乗っていくことになります。
私がやろうとしているのは、実質的に出版コンサルティングに近いのかなと思います。世の中には出版コンサルティングビジネスがありますし、数十万円から数百万円(!)のお値段がついているものもあります。受講者にとってそれだけの価値があるのもわかりますし、サービスを提供する側としても、どんな方が応募してくるかわからない以上、ある程度の金額設定をすることで、参加者の本気度を測る側面もあるでしょうし、その金額を支払えることが人物保証にもなっているのでしょう。
ただ、このモデルはどうしてもアクセスをお金で売ることになるため、私にはなじまないのです。また、私が対象に考えている方は著者志望者ではなく出版翻訳家志望者ですので、「原書の存在」という大きな違いがあります。出版する価値があるとすでに認められたものを扱うわけですから、高額の設定にして予防線を張らなくても、クオリティ面で話にならない応募はないと考えています。
読者の方を応援する意味で、無料でサポートしたいのですが、その一方で、こんな指摘も気になっていました。「無料でやってもらうよりも、相手はお金を払いたいんだよ。そうすればサービスのお客さんになるから、ああしてほしい、こうしてほしい、ってリクエストもできるでしょう? 無料だと、それができないんだよ」と。それも一理ありますし、私も応援したい一方で、相手の方に「申し訳ない気持ち」になってほしくはないのです。
そこで、対価としてお金をいただく代わりに、フィードバックを提供していただきたいと考えています。
たとえば、「こういうところに持ち込んでみては?」とアドバイスをさせていただいたら、実際に持ち込んでみる。そこでうまくいったのか、いかなかったのか。その理由は何なのか。具体的に何をどう変えていけば企画が通るのか……そういう情報をフィードバックしていただきたいのです。
そうすれば、その情報を連載でお伝えすることで読者のみなさまの経験値も間接的に上がっていきますし、私から応援してもらった分を他の読者への応援にできるので、気持ちの負担もないのではと思います。また、その発信の過程を通して、企画自体に関心を持っている編集者さんとつながっていくこともできるかもしれません。おまけに、私も連載のネタに困りません(笑)
そのプロセスを続けていくことで、将来的に「この本を訳したい!」「出版翻訳家になりたい!」という方たちと、編集者さんたちとをうまく結びつける仕組みをつくれるといいな、と期待しています。
私は何かを勉強して、それを自分なりに体系化して人に伝えるのが好きなのだと思います。その再現性を高めて組織化していくところはそれほど得意ではないのですが、やっているうちにその部分が得意な方たちが現れて、うまく仕組みがつくれるかもしれませんし……。
ただ、私も暇ではないので、誰も彼もサポートするわけにはいきません。前述のようにフィードバックを提供してくださるということ以外に、以下の条件を満たしている方を募集します。
・この連載の記事をすべてご覧いただいていること、または書籍化された『翻訳家になるための7つのステップ』をご高覧いただいていること。
・翻訳したい原書と企画書をご用意いただいていること。
というわけで、「ぜひそんなサポートを受けたい!」という方は、こちら(※私の主宰する日本読書療法学会のサイトのお問い合わせ欄になります)から「出版翻訳家デビューサポート希望」の旨、ご連絡ください。実際にお話を伺ってみて、私ではお力になれないこともあるかもしれませんが、まずは一歩進めるお手伝いはできるでしょう。
締切がないと「いつかやろう」と思ったままになってしまうのが人間ですので、締切も設定しておきますね。
2022年2月7日(月)までにご応募ください。
お申し込み状況によってはお返事にお時間をいただくかもしれませんが、必ずご連絡差し上げます。素敵な原書を世に出すお手伝いができますように。がんばっている読者の方にお会いできるのを楽しみにしています!
※新刊『古典の効能』の出版記念トークショー&サイン会が1月29日(土)に渋谷の大盛堂書店さまで開催されます。この連載の読者のみなさまにもお会いできればうれしいです。詳細・お申込はこちらをご覧ください。
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※この連載を書籍化した『翻訳家になるための7つのステップ 知っておきたい「翻訳以外」のこと』が発売中です。電子書籍でもお求めいただけますので、あわせてご活用くださいね。