第50回 新年、夢をかなえるために大切なこと
みなさま、あけましておめでとうございます。
元旦に「今年こそは出版翻訳家になる夢をかなえよう」と決意を新たにされている方もいらっしゃることでしょう。
夢をかなえるために、勉強をしなくちゃ。計画を立てて、この本を毎日何ページ翻訳して、この資料を毎日何ページ読み込んで、それから、それから……となってしまったあなた、ちょっと待って!
目標を立てて、そこから逆算して今やるべきことを考えるのはとても大事なことです。新年でやる気が満ちていることもあって、あれもやろう、これもがんばろう、と気持ちも膨らむでしょう。だけどあまりにがんじがらめにならないでほしいのです。詰め込み過ぎずに、いい流れが来たときに軽やかに乗れるように、ちゃんと余地を残しておいてほしいのです。
夢を叶えるルートは真っすぐとは限らず、思いがけないところが夢の近道に通じているものです。自分の決めたことにガチガチでまっしぐらでは、せっかくのルートも見落としてしまいます。
それに、まじめの罠もあります。計画を立てても、その通りにいかないのが世の常です。そのときにまじめな人は、「毎日5ページ翻訳するって決めたのに、できなかった」と落ち込み、「計画通りにできない私は、なんてダメな人間なんだろう」と自分を責め始めます。挙句の果てに、「出版翻訳家になるなんて、どうせ無理なんだ」と夢を放り出してしまいかねません。
計画通りにいかないときに大切なのは、「それでもできたこと」に焦点をあてること。「風邪をひいて一週間ダウンしていたけど、3ページは翻訳できた」ならば、そのがんばりを認めて次につなげていきましょう。自分を責める代わりに、一生懸命計画通りにやろうとしていた健気な自分をほめて育ててあげましょう。
張り切り過ぎた計画は調整して、継続できる計画に変えていけばいいのです。そんな調整能力も、楽しみながら身につけていきましょう。その能力はきっと出版翻訳家としての仕事にも役立つはずですよ。
調整しながら、そしていい流れに乗りながら。軽やかに出版翻訳家になる夢を一緒にかなえていきましょう。
この連載では、今年も引き続きあなたを応援していきます。ご好評いただいている出版翻訳家インタビューのほか、作家インタビューや順調に夢をかなえつつある読者のインタビューなどもお届けして、たくさんのヒントをお伝えしたいと思っています。うれしいご報告も、お待ちしています!
※この連載では、読者の方からのご質問やご相談にお答えしていきます。こちら(私の主宰する日本読書療法学会のお問い合わせ欄になります)からご連絡いただければ、個別にお答えしていくほか、個人情報を出さない形で連載の中でご紹介していきます。リクエストもあわせて受け付けています。