第25回 プレゼンをする
十分にリハーサルをし、しっかり準備をしたうえで実際のプレゼンをしましょう。その際には、いい意味で、練習したことを忘れてください。「これもいわなきゃ、これも説明しなきゃ」と頭がいっぱいになってしまうと、相手の編集者さんが何を聞きたがっているのかに注意を払うことができなくなるからです。
あなたの企画書のどこに編集者さんが関心をもつかはわかりません。「この箇所に興味があるんだな。だったらこの情報を口頭で伝えてみよう」という具合に、相手の反応を見ながら、適宜追加すべきものは追加しましょう。相手の関心のないことに、余計な説明は要りません。関心のないことを長々としゃべっても、印象が悪くなるだけです。相手目線で判断してください。
編集者さんはあなたの企画書を見ているだけではありません。企画が通ってあなたと一緒に仕事をすることになった場合のことも考えています。それなのに一方的に話してばかりでは、自分の都合しか頭にない人だと思われてしまいます。せっかく企画自体に関心をもってもらえても、「この人とは一緒に仕事をしたくないな」という理由で断られてしまうかもしれません。一緒に仕事をしていく相手としてのあなた自身も見られていることを忘れずに!
もし、プレゼンの結果断られたとしても、企画書についての第22回連載でお伝えしたように、それはあくまでマッチングの問題にすぎません。あまり落ち込まないようにしましょう。
もちろん、ここまで来て断られると喪失感は大きいでしょうが、経験を積めたことは必ず次に活かされます。他の出版社に持ち込んで、別の編集者さんにプレゼンをするときには、きっと今回より上手にできるでしょうし、企画が通る可能性も高まるでしょう。
たとえ今回がダメだったとしても、意味がなかったわけではありません。たとえば、今回の編集者さんから別の件で「この間の企画はご縁がなかったけれど、こういうおもしろそうな原書があるから、この翻訳をやってみませんか」と依頼があるかもしれません。また、あなたが別の原書を見つけたときに、「御社に向いていそうな原書を見つけたのですが、こんな本はいかがですか」と提案することもできるでしょう。
どこでどう今回のご縁がつながってくるかはわかりませんから、たとえ断られた場合でも、企画を検討していただいたことへのお礼はていねいに伝えてくださいね。そして気を取り直して次に進みましょう。