第18回 何をどうアピールすればいいの?
前回の連載で、「あなたに翻訳を頼むのがふさわしいと思ってもらえるようなプロフィールをつくりましょう」とお伝えしました。そのために、あなたの経歴をもう一度見直してみてください。単なる履歴書のようなプロフィールは求められていません。その本にふさわしい実績や専門知識を持っていることをアピールしてほしいのです。
料理の本であれば、調理師免許などの資格を持っていることも関係してきます。そこまでではなくても、「料理が大好きで料理関係の本を100冊は持っている」というならそれもアピールになるでしょう。
「自分には記入できるようなことは何もない」と思ってしまうかもしれません。だけどその原書を選んだということは、あなたのこれまでの人生の中に、その原書に関係する要素が必ずあるはずなんです。それをていねいに探してみてください。そして実績として捉えなおしてみてください。
心理的な理由も大きなアピールになります。料理の本を選んだのが「単に料理が好きだから」というだけなら、同じ理由の人は多くいるでしょうから、アピールとしては弱いです。だけど「大きな病気を経験した際に食事の見直しをして、そこから料理にすごく興味を持って、色々と気を遣って料理をするようになって病気を克服できた」というなら、強くアピールできます。
また、「幼少期に海外に住んでいて、なかなか現地の人たちに溶け込めなかったけれど、あるホームパーティーに招かれて、そこでの料理がすごくおいしかった。そのときにはじめてその国に受け容れてもらえた気がした。だから自分も料理を通してほかの国との懸け橋になりたい」という思いをもって取り組んでいれば、これも強力なアピールになります。こういう心理的な理由もていねいに探ってみてください。
真面目な方や、自己評価の低い方は、たとえば10あるうちすでに5はできているのに「自分には1しかない」と思って1しか表現しないことがあります。だけど世の中には、同じように5なのに、それを10あるかのようにアピールする方もいます。
5あるのに1しかないと思ってしまう、その奥ゆかしさは人間的な魅力ではありますが、アピールが必要な場で遠慮がちな行動のせいでみすみすチャンスを逃してしまうのは、とてももったいないことです。そういうタイプの方は、「これでは自分の経歴はかなり“盛ってる”のでは?」と思うくらいが、きっと客観的には正しい自己評価なのでしょう。
謙遜しすぎることなく、あなたの持っているものを最大限にアピールしてくださいね。