第15回 仕様と著者プロフィール
引き続き、企画書の具体的な項目を見ていきましょう。
⑤仕様には、本の体裁を記載します。ビジネス書や専門書はA5版、文芸書は四六判が多いかと思います。図鑑のように大判のものなど様々なサイズがありますが、A5版と四六判が大半です。この判型と合わせて、予価、つまり予定価格とページ数を記載します。
最終的には出版社が決めることですので、企画書の段階で仕様の情報はなくても構いません。だけどできれば実際に書店に足を運んで類書を調べ、「この原書が実際に出版翻訳されて店頭に並ぶときにはどんな本になるだろう」と想像してみてほしいのです。すると自分の中に「こんな本ができるんだ」と最終的なイメージが明確になるので、それ自体が励みになります。また、そのイメージを編集者さんと共有できることが、話を進めるうえでも役立つでしょう。
実際には、原書のページ数がとても多いのでかなり削って薄手の本にしなければいけない場合もあるかもしれません。というのはあまり厚手の本だと読者に敬遠されがちですし、紙代などコストがかさんで本の価格自体も高くなってしまうからです。せっかく翻訳したものを削るのはつらいことですが、そういう事態に備える心構えとしても、ページ数や価格をあらかじめ考えてみておくといいでしょう。
次は、⑥著者プロフィールです。原書の著者がどんな方なのか、編集者さんに伝えましょう。著者プロフィールはたいてい、原書の裏表紙やカバーの折り返し部分に記載されています。そこに記載がない場合でも、原書の版元のサイトや著者のサイト、あるいは所属団体に見つけられるでしょう。
この際に、編集者さんの目にとまるような情報を盛り込むことです。すでに誰もが知っている著名人なら、それだけで「この方の本なら出版しましょう」となるかもしれませんが、実際にはそうではないことが大半です。
そこで③の書籍概要で本の魅力をアピールしたのと同じように、ここでは著者の魅力をアピールしていきましょう。たとえば何か受賞歴があれば「○○賞を受賞」と掲載します。主要なメディアで取り上げられたことがあればそれも掲載しましょう。他にも、SNSで多数のフォロワーがいるなどもアピール材料になるでしょう。そういう情報を盛り込んで、編集者さんに「この著者の本ならぜひ読みたい」と思ってもらえる著者プロフィールをつくりましょう。