第5回 「学校に通うこと」の落とし穴
学校に通うことには、落とし穴があります。
学校の授業は、きびしいものです。通訳学校では、筆記テストや通訳パフォーマンスが悪いと、「脳みそないんじゃないの!?」「そんなんだったら帰りなさい!!」と罵倒されることも度々。人間性自体を否定されるようで、通うほどに自信をなくしていきました。
翻訳学校でもこれほどきびしいかはわかりませんが、罵倒までされずとも、多くの課題があり、ダメ出しをされるなかで、「自分はできないんだ」「自分はダメなんだ」と落ち込んでしまうことはあるでしょう。すると暗いオーラをまとってしまい、「仕事をお願いしたい人」ではなくなってしまうのです。
そう、これが落とし穴です!
通訳学校時代、印象に残ったクラスメイトがいます。同時通訳クラスに進級して、初回の自己紹介でのこと。彼女は、「私は2年もこのクラスにいるのに、いまだに進級できなくて……」とうつむいていました。そのクラスに在籍している時点で、実力はあるはずです。通訳として仕事をすれば、きっとある程度こなせるはずなのです。それなのに、「2年も進級できないダメな自分」というセルフイメージを持っていました。そしてまさにそのことが、通訳になる夢から彼女を遠ざけてしまっていたのです。
あなたがもし、「チャンス」や「仕事」の立場だったら、どうでしょう? 同じ実力の二人がいたら、「やったことないけど、できそう! がんばってみる!」という人と、「自信ないし、だめかも……」という人と、どちらに行きたいか、答えは明らかですよね。
そもそも、チャンスも仕事も、人が持ってきてくれるもの。暗くうつむいて、自分がいかにダメかを嘆いていたら、人が寄りつかなくなってしまいます。
出版翻訳家になりたいあなたは、これまで成績がよく、叱られた経験も少ないのではないでしょうか。それだけに、自分がまわりに比べてできない状況に置かれることや、ダメ出しをされることに弱いかもしれません。
だから、学校に通う場合には、自分のメンタル面をきちんとケアすること。学校がすべてにならないよう、自分なりに適度な距離感を保ってください。本来の目的を見据えながら、あなたのためになるように上手に活用してほしいのです。そして「仕事をお願いしたい人」として、チャンスが来たときにしっかり受け止められるあなたでいてくださいね。
それでは、次回から、いよいよ「7つの魔法」をお伝えします!