第九回 プレスリリースを英訳してみましょう
こんにちは!塾長のソーキンです。早いもので、もう12月。時間が経つのは本当にあっと言う間ですね。実践編もこの第九回が今年最後の記事になりますが、今回はプレスリリースを宿題にしてみました。実践編ということもあり、前回から少しずつ自由な翻訳の形にも挑戦して頂けるよう、解説や英訳例を挙げてきましたが、今回の読者さんはどのように表現してくれたのでしょうか。では、詳しく見て行きましょう。
【前回宿題−日本語原文】
関係各位、
通訳・翻訳など語学に特化した人材総合サービスの株式会社テンナイン・コミュニケーション(東京都港区、代表取締役:工藤紘実)は、2009年8月よりインターンシップ受け入れを開始いたします。
百年に一度の大不況と言われる現在の社会情勢においても、毎年新しい人材が社会に旅立つことは不変の事実であります。企業にとっては、新しい人材を採用し育成することは社会や企業自身の更なる発展にとっても重要な責務であると私どもは考えています。
その考えに基づき、学生が在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を様々な企業で行うことは自分らしい生き方を掴むきっかけになるというインターンシップの定義に私どもは共感し、将来有望な若い人材が学生生活を送るなかでの教育プログラムの一翼を担えるような2週間の就業体験プログラムを用意いたしました。
【読者英訳】
Ten-Nine Communications, Inc. Announces the Launch of the Internship Program 1
Tokyo, May 11, 2009 – Ten-Nine Communications, Inc. (Representative Director: Hiromi Kudo, Office: Minato-ku Tokyo) 2 is announcing today the acceptance of interns starting from August 2009.
Even 3 in the current severe economic downturn which has been described as a once-in-a-century occurrence, there will be new graduates every year that will be joining society’s workforce 4. This is an unchanging fact. Ten-Nine Communications, Inc. considers it an important responsibility as a company to recruit and foster new human resources for the further development of society as well as the company itself.
This philosophy resonates with the definition of internship 5, which is to provide students with opportunities to discover how they want to live their lives through gaining work experience at different companies—experience relating to the field of their majors or future careers they envision. Ten-Nine Communications, Inc. is now prepared to offer a 2-week internship program which can contribute to the academic education of those promising young workers 6 of tomorrow.
Ten-Nine Communications, Inc. provides comprehensive human resource services specialized in language skills such as interpretation and translation 7.
– END –
今回の読者英訳は大変よくできました!ちゃんとリサーチもして、以下のようなプレスリリースのフォーマットに関する情報も提供してくださいました。とても助かります。
参考サイト:
http://clients.marketingsource.com/pressrelease/releaseformat.html
http://www.mediacollege.com/journalism/press-release/format.html
http://www.webwire.com/Formatguidelines.asp
http://www.publicityinsider.com/release.asp
http://office.microsoft.com/en-us/templates/ct101439021033.aspx
読者英訳をご覧になれば一目瞭然になるので、ここではフォーマットに関するコメントを控えさせていただきます。それでは、文法や書き方に関して少しだけコメントします。
1. Internship Programの前に theを使うと、決まったものを指すことになりますので、気をつけましょう。タイトルにはwho とwhatだけでなく、できたらwhenについての情報も加えると更に分かりやすくなるでしょう。それから、announcesは省略しもいいのではないかと思います。
2. 一つ目の段落は一番大事な情報を凝縮して伝えなければいけないので、会社の代表や所在地に関する情報はコンタクト情報のところに持っていくのはいかがでしょう。
3. いきなりevenで二つ目の段落を始めることに抵抗を感じます。私はneverthelessを使うことにして、後半の「不変の事実」の前に持っていくことにしました。
4. Society’s workforceは不自然な表現なので、避けましょう。
5. ここは直訳を避ける手段として非常に上手です。
6. Workersという表現はまるで労働者のようで、この会社が提供するサービスとイメージが合わないではないかと思いますので、避けましょう。
7. Specializing/ with a specialization in interpretation and translationに直しましょう。通訳と翻訳はこの会社の主なビジネスだと思いますが、大事なところはsuch asの後にしないで、前に出すようにしましょう。
【塾長英訳例】
Ten-Nine Communications to Launch Internship Program in August 2009
Tokyo, 11 May 2009 – Ten-Nine Communications, an integrated human resource services company specializing in interpretation and translation, is pleased to announce the launch of an internship program from August 2009.
The world is in the grip of a major economic crisis that is said to occur only once in a hundred years. Nevertheless, it remains unchanged that fresh young graduates continue to embark on a new stage in their life to join the workforce every year. At Ten-Nine, we believe that companies have an important obligation to recruit and nurture these young people that will not only lead to the further development of society as a whole but also the companies themselves.
It is based on this belief that we identify with the aim of internship programs to help students find their way in life by giving them a chance to experience working life in companies related to their field of study or the career they intend to pursue. To achieve our objective of supporting the training and education of young adults with a promising future, we have put together a 2-week internship program.
如何でしたでしょうか。今回の読者さんは、前回の記事も読んでくれたのでしょうか、原文の意味を捉え、かつ、自由な形式での翻訳に挑戦してくれています。プレスリリースという文書の特徴上、伝えるべき情報の優位性、そして如何に分かりやすく表現するか、などについても、工夫をしてください。それでは次回テーマ(宿題)を以下にお知らせします。秘密保持契約書の一部です。読者のみなさんからの英訳例をお待ちしています。12月24日(木)17時までにこちらへお送りください。
【宿題】
*****(以下、「甲」という)と株式会社テンナイン・コミュニケーション(以下、「乙」という) は、乙が甲の依頼を受けて行う通訳・翻訳業務(以下、「本件業務」という) に係る機密保持に関し、次のとおり契約を締結する。
第1条 (定義)
本契約において、秘密情報とは、乙が甲の依頼を受けて行う通訳・翻訳業務に関して、甲が乙に書面その他の記録媒体により開示する一切の情報をいう。
但し、以下の情報は秘密情報に含まれないものとする。
1甲から乙へ開示された時点で公知であったもの。
2甲に対して秘密保持義務を負わない第三者から合法的に取得したもの。
第2条 (秘密情報の非開示及び非使用)
1乙は、甲から開示された秘密情報を秘密に保持するものとし、甲の文書による同意を得ない限り、第三者に開示又は漏洩してはならない。
2秘密情報は、本件業務遂行のために使用する目的でのみ甲から乙に開示されるものであり、乙は、甲の文書による同意を得ない限り、他の目的のために秘密情報の使用を行ってはならない。