第六回 医薬系の英訳に挑戦しましょう
こんにちは!塾長のソーキンです。
実践編第六回は、すごく専門的というわけではありませんが、医薬系の翻訳にチャレンジしていただきました。市販の頭痛薬の外箱にある成分表および注意書きです。早速読者の英訳をもとに表現を見ていきましょう。
【前回宿題−日本語原文】
【読者英訳】
読者訳例は大変よくできました。読者の方はインターネットを有効に利用して、ちゃんと調べていることがよく分かります。今回の練習問題はメーカーのオリジナル英訳がインターネットにも載せられています。でも、メーカーの英訳と同じことを書くのは面白くないので、少し工夫して、より適切な英訳を考えましょう。
1.この段落は一番難しいと思います。原文通りに訳すと、不自然な流れになり、商品としてのアピールが弱まってしまう感じがします。読者例のresolve the mechanism of pain は不自然な組み合わせです。resolveを見ると、次に来る言葉はissue やproblemなど問題解決のことを連想します。例えば、Naron Ace R works by controlling the pain mechanismと訳すのはいかがでしょうか。
2.「成分」をcomponentと訳すのはこの場合あまり適切ではないと思います。薬局で市販の薬品を調べてみたら、ほぼ限りなく(active) ingredientを使っています。
3.relieves agonizing pain rapidlyは文句なしの素晴らしい訳です。疑問に思うのは原文の書き方です。どうして「速く」と「効きます」の後にrapidly とrelieveがつくのかよく分かりません。でも、原文に影響されないで、全体のバランスが取れた自然な書き方を考えましょう。市販の商品を調べてみたら、fast relief かquick reliefのほうがrapid reliefより頻繁に使われています。音節数の少ないほうがスピードの速さがよりよく伝わるからかもしれません。また、agonizing は文学作品の英訳に使うのはいいですが、薬品の説明に使うのは色が濃すぎて、避けたほうがいいでしょう。
4.Containを受身形で使うと、the H1N1 outbreak is containedのように何かの感染病が収まることを指します。ここでは避けましょう。
5.the transmission of painをpain transmissionに変える小さな工夫で、文字数が減り、ちょっとだけすっきりしませんか。
6.gastric coatingの代わりにstomach liningのように一般人でも分かる言葉を使ったほうがいいのではないかと思います。別の言い方としてgentle on the stomachもよく見ます。同じように「効能」の部分にある lumbago、contusion pain、traumatic pain、neuralgia、それから「注意」の部分にある antipyretic analgesicなどもそうですが、どれも辞書を引かなければいけないような言葉で、一般人には難しすぎるのではないかと思います。これはあくまでも一般人向けの市販薬品なので、できるだけ分かりやすい単語を使ったほうがいいでしょう。
7.上の2でも触れましたが、compositionは悪くはありませんが、一般的に(active) ingredientsのほうがよく使われています。
8.「効能」は辞書などではefficacy やindicationと訳されていますが、市販の商品を調べたら、usesを使うことが多いです。またfor the relief of…もよく使われます。
9.上の段落のRelief of headache …の続きに、Antipyretic action when you feel chilly and have a feverが来るのは不自然です。いきなりwhen you…というところがおかしいです。全体の流れを考えると、上の段落もRelief when you have headaches…に変えなければいけません。
10.For the 15-year-old or olderは文法的に間違っています。For people/adults who are 15 years old or aboveに直さなければいけません。しかし、最初からfor…をやめて、semi-colonを使ったほうがすっきりします。「15才以上」はadultsと言っていいのか迷ってしまいますね。イギリスやアメリカなどで製造された市販薬品では、adults and children over 12またはadults (over 12 years)のような表現がよく使われています。子供が何歳から大人と同じ薬を飲んでいいか決めるときの基準年齢は12才になっていることが多いようです。ただ、同じようにadults and children over 15またはadults over 15 yearsにしていいかはよく分かりません。15 years and aboveまたはOver 15 yearsにするしかありません。次に、 do not take more than 2 tablets for a dose and more than 3 doses a dayは分かりにくいです。誤解を招いたら、大変なことになりますので、はっきりと分かりやすく書きましょう。Do not take more than 2 tablets per dose. Do not exceed 3 doses a day. のように二つの文に分けましょう。
11.Do not…if you…というふうに訳すのは素晴らしいです!
12.run a machineは不自然です。これは決まっている表現がありますので、そのままoperate machineryを使いましょう。
13.the instructionを複数にしてください。この場合はいつも複数になっています。
【塾長英訳例】
分かりやすい表現が可能であれば、日常的な言葉で説明する方が良いでしょう。また、決まった書き方、というのがどの分野にも存在すると思います。リサーチには実際に市販されている商品やネットを十分に活用して下さい。それでは次回テーマ(宿題)を以下にお知らせします。個人情報保護に関する公表事項です。読者のみなさんからの英訳例をお待ちしています。9月24日(木)17時までにこちらまでお送りください。
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【宿題】
「個人情報の保護に関する法律」に基づく公表事項
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開示について
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