第82回 ディスクレーマー⑤
こんにちは。年末年始と2ヵ月もさぼってしまいました。すみません!今年もよろしくお願いいたします。早速始めて行きましょう。今回は、投資家向け文書に必ず載っているDisclaimerを引き続き取り上げます。前回はポートフォリオ運用に係るリスクでしたが、今回は株式市場で生じる可能性のあるリスクについての説明です。
【本日の課題】
Market Risk: The market values of securities will fluctuate, sometimes sharply and unpredictably, based on overall economic conditions, governmental actions or intervention, market disruptions caused by trade disputes or other factors, political developments, and other factors. Prices of equity securities tend to rise and fall more dramatically than those of debt securities.
●Market Risk
そのまま「市場リスク」でOK。この課題自体が市場リスクの説明になっていますので、わたしの説明は省略(笑)。
●market values
「市場価値」すなわち「時価」のことです。ただ英語はmarket values will fluctuateと続いており、日本語の「時価」はそもそもfluctuateするもの、というニュアンスがありますから、ここは「市場価値」の方がいいかなと思います。
●equity securities/debt securities
「持ち分証券」とか「債務証券」といった訳も辞書には載っていますが、ここは非常に一般的な意味で、株や債券に投資するときは、これこれのリスクがありますよ、と言っているだけなので、シンプルに「株式」と「債券」で問題ありません。
「持ち分証券」「債務証券」にしますと、違うニュアンスが出てきてしまいます。興味のある方は、「株式」と「持ち分証券」、「債券」と「債務証券」をそれぞれ検索してみて、その結果から受ける印象を比べてみてください。
細かく見るべき場所はこのくらいでしょうか。さっそく訳してみましょう。
【本日の課題】(再掲)
Market Risk: The market values of securities will fluctuate, sometimes sharply and unpredictably, based on overall economic conditions, governmental actions or intervention, market disruptions caused by trade disputes or other factors, political developments, and other factors. Prices of equity securities tend to rise and fall more dramatically than those of debt securities.
【試訳】
市場リスク:有価証券の市場価値は、全般的な経済状況、政府による行動・介入、貿易紛争等の要因による市場の混乱、政治情勢、その他の要因を受けて、急激かつ予想不可能な形で変動することがあります。株式の価格は、債券価格よりも急激に上昇・下落する傾向があります。
※based on以降が非常に長く、いつの間にか主語を忘れてしまいそうなので、読み物的な文章でしたらunpredictablyでいったん切るのも手です。しかしディスクレーマーの場合は、論理的で、何度読んでも同じ解釈に至る状態であれば、どれだけ長くてもOKかなと思います。
※また「~があります」の語尾が2回続いており、これも読み物的な文章では、小学生じゃないんだから何とか工夫しろと言われるところですが、ディスクレーマーでは明確である限り問題ありません。