第75回 習うより慣れよう⑥
こんにちは。今月もWhich Equities Have Outperformed When the Economy Slows?という小記事から一部を取り上げます。前回、前々回の課題は、米国では金利引き上げの影響がまだ経済成長ペースに及んでおらず、IMFや世銀が同国のGDP成長見通しを下方修正した、という内容でした。今回はそれに続いて、低成長下ではどんな株式がどのようなパフォーマンスを示すのかを分析した文章を読んでみましょう。ここ数年でNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など始めた方も多いでしょうから、投資家としても興味深いかも!?
過去2回と同様、図表とセットになっている段落ですので、今回は末尾に図表も載せておきます。適宜参照しながら読み進めてください。(説明だけで長くなってしまったので、本文の訳出は次回、図表はさらにその後とさせていただきます)
まず、課題の中に出てくる株価指数について説明しておきます。
①Russell 1000® Growth Index(ラッセル1000®グロース指数)
②Russell 1000® Value Index(ラッセル1000®バリュー指数)
は、いずれも米国のラッセル・インベストメンツという会社が公表している株価指数です。①は今後の成長が見込める「グロース株(成長株)」、②は株価が本来の価値より割安なまま放置されている「バリュー株(割安株)」をそれぞれ1000銘柄ずつ組み入れています。
投資家は、その時の経済や金利の状況、自身の投資目的・投資期間などを考え合わせて、様々なスタイルで投資を行っています。今後、経済が力強く成長すると思えば、その波に乗って株価が大きく上昇しそうなグロース株を買い、この銘柄は本来の成長力から見て株価が安すぎるんじゃないかと思えば、そういったバリュー株を買う、といった具合です。その際、それぞれの投資スタイルの指標として参考にされるのが、①や②などの株価指数です。
それでは課題を読んでみましょう。
【本日の課題】
What are the potential implications of slower growth for equity investors? There is strong evidence that when aggregate growth is low, the scarcity of strong revenue and earnings growth for companies makes those qualities more valuable for investors. In Figure 2, we highlight this phenomenon going back to 1980, noting that in low-GDP growth regimes, the stocks of the Russell 1000® Growth Index outperform those in the Russell 1000® Value Index. And it is worth noting that as GDP growth declines, both the magnitude of that outperformance and the frequency of outperformance increases.
●revenue
これはなかなか厄介な用語でして、「収入/収益/売上」など様々な訳語が充てられます。日本語の「収入/収益」自体、あやふやな語なので、ある意味、きちんと対応しているのかな、とも思いますが。ともあれ、ここは「売上高」と取りました。
●low-GDP growth regimes
regimeに引っかかって、「低成長体制」などとしてしまわぬよう。辞書では確かに、「誰かが意図的に作りあげたシステム」といった感じの語義が並びますが、この場合のregimeは「状況、環境」程度の意味で使われているように思います。
●the stocks of the Russell 1000® Growth Index outperform those in the Russell 1000® Value Index
outperform=out+performですから、ラッセル1000グロース指数が、同バリュー指数のパフォーマンス(リターン)を上回った、ということです。
●the magnitude of that outperformance and the frequency of outperformance increases
このあたりは、図表2の内容と照らし合わせて見ると分かりやすいだろうと思います。今回は決して分かりにくい内容ではありませんが、図表を無視して本文だけを訳す(あるいは本文を無視して図表を訳す)と、時にとんでもない誤訳になってしまいかねませんので、要注意です。
さあ、以上すべてを頭に入れた上で、「ですます」調で訳してみましょう。詳細は次回!