翻訳単価の価格破壊を防ぐために
テンナイン・コミュニケーションの初めての試みである『オリジナル商品開発プロジェクト』の一環として、テンナイン・コミュニケーション翻訳部が『オリジナル香水』を販売いたします。
なぜ翻訳会社が香水をプロデュースするのか?プロジェクトの背景にある想いを計4回のブログで解説していきます。
第2回目の今回は「翻訳単価の価格破壊を防ぐために」についてお話します。
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前回のブログ「AI翻訳に対抗するために」では、人間の翻訳者と翻訳エージェントが生き残るためのヒントは予定調和ではない、突拍子もない「ノイズ」を起こすことであり、翻訳に人間らしい付加価値を生み出すことが重要であると主張しました。
今回は翻訳者や翻訳エージェントがいかに売上や収入を維持していくか、についてお話したいと思います。
まず前提として、翻訳業界は以下の二つの理由から厳しい価格競争にさらされていると考えています。
- 進化するAI翻訳:大量の文書を瞬時に、高い精度でかつ安価に翻訳が可能。これまでの人力での翻訳に取って代わってきている。
- 需要と供給のバランス:翻訳業界は参入障壁が低く、翻訳会社が乱立している。品質の差別化が難しく価格競争を引き起こしている。
この二つの状況が極限まで進んでしまった最悪の結末が翻訳単価の価格破壊です。翻訳関連の仕事が非常に安い賃金で行われ、仕事としての価値が過小評価されています。
残念ながら、この二つの状況は現在進行中で、テンナインにとっては現在の単価設定が最終防衛ラインのギリギリの位置であると考えています。
この状況に対抗するためのキーワードは「ファン化」です。
ファン化とは、既存顧客とのエンゲージメント(つながりの度合い)を高めることで、自社商品・サービスに対する愛着や、応援したい気持ちを育て、ファンにすることを指します。 ファンは一般的な顧客よりもリピート率が高いうえに、競合他社に移行する可能性も低く、商品・サービスを長期間使い続けてくれる存在です。
*出典:ビジネスにおけるファン化とは?メリットや顧客をファン化させるポイントを解説!
「ファン化」はブランディングの一環です。テンナイン・コミュニケーションというブランドをお客様に信頼して頂き、翻訳の成果物に付加価値を感じて頂くことが出来れば、他社と価格競争になった際でも継続してご依頼を頂くことができ、価格破壊を防ぐことが出来ます。
つまり、私たちはお客様にとって魅力的な企業でなければいけません。
テンナインは「原文に書いてあることを一語一句、別の言語に置き換えるだけ」「読み手にある程度意味が伝わればいい」という単純な翻訳作業を行うだけの企業ではありません。
私たちは翻訳される文章の背景にある情熱やストーリー、価値観や世界観を大切にしてクライアントに寄り添う翻訳エージェントであることをアピールする必要があります。
そのために私たちは『オリジナル香水プロジェクト』を実施します。
私たちはAI翻訳の進化と価格競争をただ嘆いて、無策に何もしない企業にはなりません。
目まぐるしく変化を続ける世の中で、恒常化したやり方でビジネスを続け、よい結果を求めることはしません。常に挑戦を続け、ファンを獲得して、50年100年続く企業を目指します。
例えば、今回の「架空の香水」という商品が、最初で最後のオリジナル商品ではないかもしれません。今回のプロジェクトが成功して世の中に認知され、需要が見込まれるのであれば、「架空の〇〇」という商品をシリーズ化して、毎年違った種類の商品を販売することも面白いのではと考えています。
才能ある翻訳者さん達は、皆様がほぼ例外なくリサーチのプロで、これまでさまざまな商品に携わった知見があります。テンナインが橋渡し役となり、この知見が集まった翻訳者様達のネットワークとコミュニティがうまく機能すれば、大ヒット商品が生まれるのでは…と夢を描いています。
A: 翻訳しか扱わない普通の翻訳会社
B: 常に新しい「架空の〇〇」という商品・サービスを展開する、ワクワクするような翻訳会社
50年後、100年後、AIが主流となるであろう時代に、AIと共存して生き残っているのはどちらの会社でしょうか?