INTERPRETATION

プライベートトライアルレッスン

上谷覚志

やりなおし!英語道場

以前のコラムの中で、英語の勉強方法をアドバイスしたり、作成したりするようなサービスがあったら・・・という話をしました。全くそのものではないのですが、最近、通常の体験講座(通常コースにそのまま入ってもらい体験してもらうもの)に加えて、プライベートトライアルレッスンというものを始めました。

こちらは1対1または少人数の方を対象に1時間ほど授業をしながら、その方の弱点や課題の洗い出しを行っていくというサービスです。基本的には秋からのコースが始まるまで実施する体験講座的な色合いはあるのですが、その方の現状を最初に確認してから、実際に音声を使ったり、サイトラをしたり、ちょっとした日英をやっていただくと、かなりその方の特徴が見えてきます。

今の自分に足りないものは何かを明確にしてから、勉強のスケジュールを見直したいという方にはお勧めです。ただ1時間という限られた時間ではあくまでも概要レベルのお話しかできないのですが、本当の意味で細かく見ていくためには、ある程度の期間、授業の中である程度パフォーマンスを見ながら、課題を特定していく必要があります。

例えばリスニングが苦手という方でも、授業を受けていただき見ていくと、問題はリスニングではなく別のところにあるというケースもよくあります。そういったことを知らずに、リスニング対策のためにCDをひたすら聞くという練習をしていてもなかなか伸びないのです。リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングどれでもそうですが、何となくそのものの練習、たとえばリスニングだったら音声を聞く、リーディングだったらとにかく読むといったような練習だけを続けている人もいますが、ある程度行くと急に伸びなくなります。

物理的な練習量が増えると、一時的にはスキルは伸びますが、だんだん伸びが緩くなってきます。量任せの練習から緻密な分析と計画が必要なステージへと変わっていきます。残念ながら、ほとんどの人はこの量任せの練習からの移行のタイミングがわからないまま、同じ練習を続けていたり、やり方を変えようと思っても自己分析ができないで何となく勉強を続けているのです。

やはり理想的には、自分の勉強方法が見つかるまでは、いきなり独学ではなく、学校に行って勉強のやり方を身につけた方がいいと思いますし、ペースメーカーのように1か月に1回とか定期的に相談できるような場所があるとかなり効率的に勉強ができると思います。忙しい方だとどうしても通学する時間がない、またはちょっとお金に余裕がないからと自宅学習を選ばれる方も多いと思いますが、かえって成果が出るまでに何倍もの時間がかかることがあるので注意が必要です。お金の投資に関しては多くの人がかなり厳しく精査するのに、時間に投資するという概念を持っている方はまだまだ少ないようです。自分の時間だから(誰かに借りているわけでもないから)ただと思われるかもしれませんが、例えば3ヶ月でできることを1年以上かけてもまだ達成できずにいるというのは、金銭的には直接的なロスにはなりませんが、我流で勉強している時間を専門家のサポートを得ながら勉強すれば、もっと効率的に目的を達成できますし、自分ひとりでは設定できなかったような目標も設定してもらえるので、結果的には投資対効果は上がるはずです。

今回のプライベートトライアルは講座を体験してもらいながら、その方の勉強方法を見直し、方向性を決めていくところまでですが、いずれは自分以外の専門家も入れて、もう少し総合的なアプローチでカウンセリング的なサービスも提供できたらと思っています。

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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