INTERPRETATION

使える英文法

上谷覚志

やりなおし!英語道場

皆さんこんにちは。

先週に引き続き今週も少し文法の話をしたいと思います。文法を教えていたのが20代中頃でその頃には某英語学校の依頼で文法の問題集を作ったという話を前回書きました。その頃自分が理解していた英文法と最近の文法書に書かれている内容に若干違いがあり、言葉は生き物だなと思わされると同時に、自分が通訳や日常的に英語を使う時にはあまり使わない文法項目も結構あるもんだなと問題集を今回作成している中で感じています。

例えば私が学生のころ”between”というのは2つの物の間で”among”はそれ以上の物の間と習いましたし、実際受験の問題でもそれで問題が解けていました。

Oxfordから出ている”Practical English Usage”の中で、

Switzerland lies ( ) France, Italy, Austria and Germany.

という問題があり、カッコには”between”が入るとなっています。

説明によると

“We say that something is between two or more objects, people, countries and so on when we see the surrounding objects etc separately, there are not very many of them, and each one is clearly distinct from the others. “

とあります。”see〜 objects separately”や”clearly distinct from the others”といった非常に曖昧な説明になっており、これを問題にしようとして”among”と”between”を両方選択肢に入れてしまうと、説明が非常に難しくなります。私が学生のころから上記のような説明が一般的だったのかもしれませんが、このような説明をされる先生もいるようです。

また金融系の会社で社内通訳をしていた頃にも、オーストラリア人の財務担当者が書いた英文の中に不可算名詞の代表のように覚えていた”money”が”monies(moneyの複数形)”として出てきてびっくりしたことがあります。その後も何度か主に金融や法律文書の中で”monies”という表現を見かけました。

TOEIC等の試験対策としては一般的な文法知識を教えればいいのでしょうけど、実際のコミュニケーションを生業としている我々にとっては複雑な心境です。教壇に立ち説明をしながらも、頭の中で「とはいっても”monies”もあるし、”between”も2つ以上のものにも使うケースもあるんだけどな〜」という思いがグルグルと回っていながらも、一般的な試験対策の知識として”money”は不可算名詞だから数えられない名詞として常に単数扱いですと説明し、”between”も基本的には2つの物の間に使いますというちょっと歯切れの悪い説明をすることになると思います。

20代の頃は、英語を実生活の場、ビジネスの場で使うことがそれほどなく、あくまでも本の中での知識だけをきちんと教えればよかったのですが、それから10年近くも様々な英語を聞いたり読んだりしていくと、こういう言い方も聞いたことがあるし、読んだこともあると文法を教える上でかなりの雑音となっています。

逆に、こういった雑音を完全に排除するのではなく、雑音もある程度取り入れて単なる試験対策ではなく、本当のコミュニケーションでも通用する英文法のクラスを今月末か来月からワークショップのような形で定期的に提供していこうと思っています。どこまでの情報を提供するか現在精査中ですが、ご興味のある方はぜひご連絡ください!

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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