タンゴ タンゴ タンゴ!!
皆さんは英語を聞くのと話すのとどちらが苦手ですか?私なんかは、自分でコントロールできる範囲が少ない英語を聞いて理解するほうが、英語を話すよりもはるかに難しいと思うのですが、よく“英語を聞くのはある程度は出来るけど、話すのが苦手”という方が意外にいらっしゃいます。
“英語を聞くのはある程度できる”というときの、“ある程度”も人によってかなり差があり、かなり怪しい方もいますが、なぜ話すほうが難しいと感じる人が多いのでしょうか?英語を聞いている分には勘違いしていても、聞こえた単語を手がかりに自分なりのストーリーを組み立てられるので、何となくコミュニケーション自体は進んでいる気がするのに対し、英語を話す場合は、自分がコミュニケーションをリードしていかないといけません。場合によってはコミュニケーショ ンがいきなり立ち行かなくなることもあり、自分の力のなさがもろに出てしまうことが多いから、話すほうが苦手という方が多いのかもしれません。
初級や中級レベルの方にその原因を聞いてみると、単語力がないことを理由に挙げる人がたくさんいます。単語がパッと出てこないから、話せないというのはもっともです。確かに単語力が極端にないとコミュニケーションは成立しませんから、本当に基本的な単語を知らなさすぎるレベルであれば、受験英語の頃のように、集中的に単語や表現を詰め込むことで、何も話せないというレベルから脱却し、決まり文句程度の会話までならこなせるようになります。
ここで言う基本的な単語というのは高校卒業程度のレベルまでであって、それ上のレベルになると、単語の詰め込みでさらに次のレベルにいくのを期待するのは難しいと思います。決まり文句や単純な内容を伝えるまでであれば、単語数と話す能力の伸びは正比例の関係にあると思いますので、覚えれば覚えるだけ、話せるようになります。
それ以上のコミュニケーションレベルに到達しようとすると、これまでのような正比例の伸びは期待できないと思います。多くの人が単語や表現をたくさん覚えることでさらに複雑なことを表現できるようになると信じて、同じ勉強方法つまり単語・表現詰め込み方といった力技を続けています。もちろんすごい記憶力を持った人だったら、あらゆる状況の表現を覚えてしまうことで、次のレベルつまり、決まり文句では表現できないことや込み入ったことを 説明していくこともできるようになるとは思いますが、実際に力技でそこまでのレベルに到達することは並大抵のことではありません。
以前のコラムで、大学の授業を見学させてもらったときに、通訳になるためには単語をどれくらい覚えればいいのですか?という質問をされて困ったという話を書いたことがあると思います。このように多くの人が英語の勉強は受験勉強の延長線みたいに文法を勉強し、単語の数を増やし続けることだと思い込んでいるような気がするのです。
力技系の方はいわゆる“英語ができる”と言われているような人の中にも少なくありません。通訳クラスで日本語から英語の授業をすると、そういう力技の勉強を続けているんだろうなと思う人が必ずいます。通訳クラスにいるということは最低でもTOEICのスコアが900点を超えるような方なので、一般の人から見るとなんの苦労もなく英語を話せると思われるレベルの方だと思います。しかし実際には英語を話すとか日本語から英語に通訳するということに苦手意識を持っている方が案外たくさんいらっしゃるのです。
それではどうしたらいいのか・・・ですが、それは来週のコラムで考えていきます。
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