リーンな日本語
「リーン(Lean)」という言葉をご存知でしょうか。
もしかしたら「リーンシックスシグマ」というセットの言葉でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
「リーン」と「シックスシグマ」は厳密には違う概念ですが、2つを統合して使われる、「定量的にプロセス・品質を改善していくこと」を目的とした世界標準の手法・哲学です。
トヨタの生産方式(有名なカンバン方式など)を基にして作られた概念で、ロジスティクス分野を中心として、いまでは一般のビジネスシーンや病院などでも広く使われています。
面白いことにトヨタ生産方式を基にしていることもあり、「そんな難しい日本語まで!?」というような言葉がそのまま日本語として英語に残っている部分が多いのです。
今回はその言葉をいくつかご紹介します。
① Kanban(看板)
トヨタの「カンバン方式」という有名な生産方式がありますが、その「カンバン」です。カンバンはカタカナで表現されることが多いですが、いわゆる具体的な作業を書いた指示書のことを指します。カンバンを用いて、いかに「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」製造することができるかがトヨタ生産の重要な部分でした。つまり、過剰生産などのムダ(Muda)を省くことが鍵となってくるようです。
② Kaizen (改善)
英語で訳すとしたらimprovementなどで表現はできるかと思いますが、それ以上にもっと深く力強い意味がこの言葉には感じられる気がします。生産現場だけでなく、どのような業務フローにおいてもやはり改善点というのは存在するもの。それをいかに継続的に良くし続けようとするか、その認識が大事ということです。
③ Genba/Gemba(現場)
日本語の現場はかなり文脈によって意味が左右されますよね。仕事での「現場」、犯罪がおこり警察が駆けつける先の「現場」、テレビレポーターの「現場からお送りします」の「現場」などです。リーンの世界における現場というのは、特に工場や倉庫などで、実際にオペレーションがなされている場所を指します。そこには常に改善点や問題点があるはずであり、データや数字ばかりを見るのではなく、まずは現場を実際に歩いて(Genba Walk)、その問題点を改善(Genba Kaizen)することがとても重要です。
④ Andon(行灯/行燈)
工場での作業中などに異常が起きた場合に知らせる表示灯のようなものです。「ランプ」とか「ブザー」という表現ではなく、わざわざ「アンドン」という言葉を用いているところに面白さがあるような気がします。
⑤ Genryo(限量)
こんなものまで日本語のままなのか…と思ってしまいました。Genryo management(限量経営)のような形で使われます。「限」られた「量」のリソースでいかに経営・オペレーションを回していくことができるかという概念のことです。ここで鍵となるポイントが「少人化(Shoujinka, Labor Linearity)」と「段階的設備投資(Capital Linearity)」の2つ。少人化は需要の増減に合わせて作業者数を増やしたり減らしたりできるように、作業者の配置を柔軟にするという考え方。段階的設備投資は、需要の変化のい対して設備能力を少しずつふやりたり除却できたりするように、設備を小さな能力の単位で構想で、調達すべきという考え方です。
*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。
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