INTERPRETATION

言い得て妙

HAJI

英語のツボ

通訳の勉強(会)をしていると、「この日本語/英語はどう訳すんだろう…」と悩むことが頻繁にあります。
また、何となく説明調で訳すことはできるけれども、一単語でぴたっ!と当てはまる訳語がないものか、頭をひねらせることもしばしばです。
こういった瞬間は悩ましいものですが、同時に、良い訳を見つけたときにはこの上ない喜びがあります。
そこで今回は、「この翻訳は言い得て妙!」と思ったものを3つご紹介いたします。

①瞬間風速的な見方
先輩の通訳者から言われました。「この間通訳をしていたら“瞬間風速的な見方”って発言をした人がいたんだけど、パートナーの訳がすごいうまかったんだよ。なんて訳すと思う?」と。
「瞬間風速的な見方」という表現そのもの自体あまり言わない気がしますが、言わんとしていることは何となくわかります。
そこで先輩の通訳者が言っていたのがsnapshotという単語。
なるほどスマホのスクリーンをスナップショットするあの感じ、ぴったりすぎる表現だと感じました。

②This project will test her ability.
この文章におけるtest、どう訳しますか。
「このプロジェクトは彼女の実力を図る」という意味ですが、testをもう少しオシャレに訳すために「試金石」はいかがでしょう。
試金石というのは金の質を確かめるために用いられる鉱石の一種で、「何かを試す」という文脈の中ではスマートに使える便利なことばかと思います。

③神回避!
いきなりカジュアルになりましたが、いわゆるゲーム実況などでよく用いられることばです。
先日友達のゲーム動画の翻訳を手伝っていたときに少し頭を悩ませました。
私自身ゲームはほとんどやらないのですが、今はゲーム実況で食べていくというお仕事もあるようで、少し羨ましいと感じました。それはそれで苦労があるのでしょうけれども…。
「神回避」というのは「神業のごとく(相手の攻撃などから)回避できた」という意味ですが、それをコンパクトにまとめたことばです。
ゲーム実況のみならずオンラインの世界は、とにかく時間が命ですから、「今のプレイは神様のような逃げ方だったね!」とは言っていられないわけです。
色々と調べた結果の訳が、a godlike (もしくはperfect) dodge。
dodgeはドッジボールのドッジで、まさしくゲームの戦闘中に回避しているイメージとぴったりです。
使う機会は中々ないと思いますが、気に入ったので自分の単語リストに即追加しました。

*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。

Written by

記事を書いた人

HAJI

国際教養大学卒業後、COWプロジェクトメンバーとして入社。大学時代を社会学を専攻し、アメリカに留学。ジャズが大好きで、アメリカのジャズ拠点をフィールドワークしたことも。
現在は目標とする先輩の通訳者のようになれることを目指して日々奮闘中。

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