INTERPRETATION

微妙に勘違いされ続けてきた言葉

HAJI

英語のツボ

mother-in-law(義母)という英語の表現があります。「in-law」という言葉は「法律上の、法定上の」と訳される言葉で、実の関係ではないけれども、法律上繋がっているよ、ということを示す言葉です。

しかしふと不思議に思いました。in-lawを「法律上定義された血の繋がっていない関係性」を表すものだとすれば、foster-motherという言葉はなぜ存在するのか、という問題です。

foster-motherというのは「里親」という意味で、つまり血の繋がっていない母親のことであり先ほどの、in-lawという定義にぴったりと当てはまる言葉です。

となると里親も、mother-in-lawと表現しても間違いではないのではないか、そう思って色々と調べてみました。すると興味深いことがわかります。

実は、in-lawという表現は、今日の国法という意味のlawでなく、canon law(教会法規)のことを指す言葉だったのです。

もともとはcanon lawとして使われていたものが、canonの部分が省かれ、lawだけ残り、今日の国法のlawと混同して使われるようになったということです。

教会法規というのは、正式な法律ではなく、あくまでもその教会のテリトリー内に適用されるいわば「ルール」のようなものです。ですからそのルールに対して学問的な研究対象とされるほどの価値はなく、国法とは全く異なることがわかります。

その教会法規の中に、in-lawと関係性のついたものは、婚姻が禁止される親等の一つであると解釈されていたことになります。

ですから、mother-in-lawというのは今日私たちが認識しているものとは根本的に異なったものであるということです。

確かに大枠で捉えれば、「そんなのどっちでもいいじゃないの」と言いたくなるくらいの細かい違いですが、このように言語の意味は変化していくのですね。

*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。

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記事を書いた人

HAJI

国際教養大学卒業後、COWプロジェクトメンバーとして入社。大学時代を社会学を専攻し、アメリカに留学。ジャズが大好きで、アメリカのジャズ拠点をフィールドワークしたことも。
現在は目標とする先輩の通訳者のようになれることを目指して日々奮闘中。

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