物事を説明するときに大事なこと
先日、先輩通訳者と、あるツイッターの投稿について議論をしました。
これはいわゆる「形容詞の順番」に関する問題です。
日本語で例えるなら、「大きい」「丸っこい」「黄色」という形容詞で犬を表すときに、これら3つの形容詞をどう並べ替えるかという問題です。
「大きな丸っこい黄色い犬」なのか「丸っこい黄色い大きな犬」なのか。
このツイッターの投稿によると、形容詞の順番は以下のようになるといいます(あくまでも英語圏での話です)。
————————————————————————————————-
(意見→大きさ→新しさ・古さ→形→色→起源→物質→目的)+名詞
————————————————————————————————-
例として、ナイフを形容するのに以下のような形容詞の並べ方をしています。
A lovely little old rectangular green French silver whittling knife.
訳:可愛らしい(意見)、小さな(大きさ)、古い(古さ)、長方形の(形)、緑で(色)、フランス製の(起源)、銀でできた(物質)、削るための(目的)ナイフ
ツイッターのコメントを見ると、この形容詞の並べ方について多少異なる意見はあるものの、大多数の人が賛同している様子です。
しかしこのルールに対しては明確な理論的説明はなく、みんな「何となくそうだよね」と、自然に共感を示しています。
ではどうしてこの並び順が普遍的なルールとして、みんなが合意するものになっているのか、私なりに考察をしてみました。
形容詞というのはそもそも、物質・人の様子を説明(形容)するための言葉です。言語をコミュニケーションのメイン媒体として使用している人間にとっては、形容詞は非常に大事な役割を担います。
例えば、森で生活している、とある原始人がある時木によじ登り、偶然にも遠方から突進してきた大型のマンモス群を発見したとします。ここで彼は下にいる大勢の仲間たちに、いち早く危険を知らせるとともに、そのマンモスの様子を正確に伝えなくてはなくてはなりません。そのような状況でまず第一声に出てきそうなのは、「彼がそのマンモスについてどのようなものと認識しているのか」という非常に主観的なところから出発するのが自然です。例えば「とても獰猛そうなので危険かもしれない」などです。
これがいわゆる形容詞の語順で先頭にある「意見」の部分です。また、やマンモスが大きいということも、遠目にわかりやすく、すぐに伝えることができる特徴なので、形容詞の語順では先頭のほうにあります。
このような具合に、危険そうな物体と遭遇した場合、重要なのはぱっと見で瞬間的に判断を下さなくてはなりませんから、主観的でその物体の全体図が分かるような形容詞が先にくるのではないでしょうか。次に、だんだんその物体に近づき、分析すると細かいことが分かります。すると「起源・物質・目的」などのより客観的な詳細が見えてくるはずです。
あくまでも憶測の域をでない考察ですが、一つ納得がいきそうな内容ではないでしょうか。
*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。
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