tellは伝えない
tellという皆さんに親しみのある英単語。中学校から当たり前のように「Tellは“~を伝える”っていう意味だよ」と教えられてきます。
しかし歴史的に見れば、すこし違った視点で見ることができます。
実はtellという単語には「(銀行などの)出納係」のような意味もあります。
お金を数えるような人のことですね。
そして、そこから派生して「数える、勘定をする」というような意味もあります。しかも「伝える」という意味で使われるよりも前から使われていました。
ということはtellの根本は「伝える」ことではなく「数え上げる」ことにあります。
「数える」という行為は、前回の記事(⇒リンクを貼る)でも紹介いたしましたが、「数える対象を等しく区別しうる条件の下に並べ替えていく」という作業です。
「人に何かを伝えていく」という行為は、複雑な事象について、体系化し、個別にひとつひとつ分かりやすくアウトプットしていくという行為であり、それはまさしく「複雑な事象を、わかりやすく”区別”して、一つのストーリーとして並べ替えていく」という「数える」こととよく似た行為と言えます。
また、tellには有名な表現として、tell the truth from a lie(嘘と真実を区別する)という表現にみられるように、「区別をする」という意味もあります。
これも「数える」という意味を根本にして考えると、納得がいきます。
「数える」ということは先ほども述べましたが、「区別をする」という行為が含まれます。一つひとつの事象を「数え上げ、観察し、区別をする」ということでこのようなイディオムも生まれたと考えると、納得がいくのではないでしょうか。
このように少し語源を考えてみると、最初はバラバラだったピースを拾い集めて一枚の絵になるように、一見何の共通項もない複数の意味をもつことばも、突き詰めると一つのストーリーが見えてくることがあります。
*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。
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