コクサイカ
「グローバル化だ!」と叫ばれる今日。「やっぱり我が子には不自由なく英語を話してもらいたい」と思いたち、普通の学校ではなくインター(インターナショナルスクールの略)に子供を入学させる方々も多い時代です。
ふと。「グローバル」と「インターナショナル」という2つの言葉は日本語のみならず、英語においてもあまり文脈を意識されないで使われていると感じました。
どちらもカタカナとして日本語に入ってきた概念ですが、翻訳するとしたらどのように訳すのが適切なのでしょう。
概ね、Globalizationというのは「地球単一化」で、Internationalizationは「国際化」というところでしょうか。もう少し掘り下げようと思います。
GlobalizationというのはGlobal(”地球”を表す)という言葉がもとになっています。一方Internationalizationは、「Inter(中に入る)+Nation(国家)」という構造の上に成り立っています。こうして分解してみると、この2つの言葉は根本的に違うものであるとわかります。
Internationalizationというのは、直訳をすると「国家の中に入る」ということ。これが意味するのは「植民地化」に他なりません。つまり、植民地時代にイギリスを中心とするヨーロッパの大国が各国を支配下においていくプロセスを表したことばであり、それを「コクサイカ」と少し格好いい名前で表現しています。そしてInternationalizationが暗示するのは、まだ「国民国家」という枠組みが存在しているということです。
対してGlobalizationというのは「地球規模」で「単一化」していくプロセスを表すもの。そこに「国民国家」という概念は存在しません。
国民国家が明確に意識されて存在していた時代は、勢力均衡(Balance of Power)によって国際関係が維持されており、そのプロセスにおいて、Internationalizationの名の下に植民地化が行われていきます。
しかし今日の世界は、国民国家という枠組みが希薄になりつつあります。安定した国民国家を形成する重要な要素の一つとしてNationality(民族性*自分は日本人だ、と強く意識するような民族的アイデンティティ)がありますが、国家間の移動が激しい時代においては「日本人」であることにこだわりを持つひとは減りつつあるのではないでしょうか。家庭の事情で複数の国を行き来しながら育った子供は、ひとつの国で確固たるアイデンティティを育むことが難しくなり、場合によってはCultural identity crisisを引き起こします。
こういった文脈の中で使われるのがGlobalizationですから、本来Internationalizationとは異なるものであるはずです。
「国際化」が叫ばれる今日、その抽象的な概念が意味するものは何か、ひとつ考えていくのも大切ではないでしょうか。
*本記事はあくまでも個人の意見であり、科学的な根拠をもとに事実を示しているわけではありません。
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