INTERPRETATION

ヤル気アップ名言の探し方

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 いつも「通訳者のたまごたちへ」をご愛読いただきありがとうございます。おかげさまで当コラムも連載100回目を迎えました!「リレーブログ」から数えれば足かけ5年目となります。通訳現場で「読みました!」と言っていただいたり、教え子から「先生のコラム、いつも読んでいます!」と声をかけられたりして、気が付いたら数年たっていたという感じがします。これからもみなさんに役立つ記事を書き続けたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回は100回記念ということで、日ごろ私がどのようにしてヤル気を抱きながら英語学習や通訳業務の準備、家事や育児などに取り組んでいるかをお話いたします。

 私の場合、時間管理術や手帳術、整理収納関連の書籍を読み続けることで、少しでも効率的な生活ができるよう試行錯誤してきました。ときにうまくいくこともあれば、もちろん、失敗したり本に書かれていたヒントと相性が合わなかったりといったこともありました。けれどもそれでもあきらめずに何とか継続できたのは、ひとえに「モチベーション・アップにつながる言葉を日々の中で探し出す」ことを繰り返してきたからだと感じています。

 元気が出る言葉、ヤル気が湧いてくるフレーズなどは、古今東西の名著や古典を紐解けばたくさんあります。「今日はちょっと気分が乗らないな」というときも、そうしたいにしえの言葉を目にすることで、新たな世界が心の中に浮かび、少しずつトンネルの出口を見つけ出せるときがあるのです。

 中でも私が注目しているのは、新聞やミニコミ誌に掲載されているインタビュー記事です。現在第一線で活躍しているスポーツ選手やアーティスト、企業経営者や専門家などがそうした記事に掲載されているのですが、一見華やかで目立つ立場にあるそういった方々も、順風満帆で来たわけではありません。誰も知らなかった苦労などを経て「今」というステージに立っているのです。そうした方たちから出る言葉には重みがあります。そして、それを読む私も励まされ、私も元気を取り戻し、家族や仕事にプラスのエネルギーを再び注入できるようになるのです。

たとえば日経新聞朝刊のスポーツ欄には、現役・引退選手のインタビューやコラムがあります。夕刊には「キャリアの軌跡」と題して、各界で活躍する女性たちのインタビューが掲載されています。「R25」や「L25」などのフリーペーパーにも特別インタビューがあり、芸能人やモデル・実業家などが取り上げられています。そうした方々の言葉をじっくり読んでみると、「どの世界においても真実は一つ。努力と継続あるのみ」と私は思うのです。これは通訳業界でも英語業界でも同じです。

俳優の中村雅俊氏は次のように述べています。

「役者には定年がない。(中略)役者には区切りがないから、仕事に対するスタンスを意識して変えていくしかない。だから、自分ではいつも意識して、新しい仕事にチャレンジしてきた。」

(日経新聞夕刊「こころの玉手箱」2010年2月26日)

私は「役者」の部分を「人生」に置き換えて解釈しています。人生には区切りがありません。だからこそ、生き方そのものを常に意識し、新しいものを取り入れて、よりよき人間となれるよう、これからも歩み続けたいと思っています。

 (2010年3月15日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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