INTERPRETATION

早起きの秘訣

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 学校は本格的な夏休みに入り、企業でもそろそろ交代で休暇を取る時期になりました。最近は朝の時間を有効活用して、勉強や運動などに充てている人が増えています。そこで今回は、夏休み中に早起きになれるヒントをお伝えしましょう。

1.とにかく初日は早起きしてみる

 日頃残業などで就寝が遅い人にとって、どんなに「早く寝るように」と言われても、実現するのは難しいものです。そこでとりあえず初日だけは目覚ましを複数かけて、早起きすることを心掛けてみましょう。いつもより15分だけでも早く布団から出てみると、一日のイニシャチブをとった気分になれます。これを数日続けていると、夜に無駄な時間を費やさなくなり、ほんの少しずつですが早く寝るようになります。

2.やることを前夜のうちにそろえておく

 たとえば早朝に勉強しようと考えているのならば、やるべき問題集のページを開き、筆記用具も揃えて机の上に準備します。起きてから一通り揃えるとなると、眠気に負けて「ま、いっか」とあきらめてしまいがちです。けれども、あらかじめ用意しておけば、目が覚めてからすぐに取り掛かれます。

3.起きたら体を動かしてみる

 私は毎朝起きたら必ず簡単な運動をしています。スクワット、腹筋、腕立て伏せなどで軽く5分ほど体を動かし、全身を目覚めさせるのです。眠くてぼーっとしていた体も、少しほぐしてあげるだけで徐々に覚醒してきます。起きぬけに水を飲み、水分補給をするのもお勧めです。私はポットに保温しておいた白湯を毎朝飲むようにしているのですが、このおかげで体も温まり、新陳代謝が良くなりました。

4.日本語シャドーイングをする

 私は放送通訳という職業柄、早朝シフトに入ることも多いのですが、そのような日は特に念入りに朝からシャドーイングを行っています。素材はNHKのラジオニュースで、その日の重要ニュースをチェックしつつ、頬の筋肉を動かしていきます。体を動かした上で声も出すようにしてみると、喉や頬、耳などの感覚が研ぎ澄まされていき、さらにスッキリ目覚めることができます。

5.太陽を浴びる

 夏の間は5時台からすでに明るくなっています。そこでお勧めしたいのが、朝の太陽を浴びること。家の窓からながめるだけでももちろん良いですが、余裕があればぜひ外に出て、しっかりと太陽を拝んでみましょう。朝は空気もひんやりしており、太陽の光も鮮やかです。私は毎朝15分ジョギングをしているのですが、朝の太陽と澄んだ空気、道端に生える季節の草花を愛でながら走っていると、自然界からのエネルギーを感じます。

 いかがでしたか?私にとって朝時間の最大の利点は、「自分で自分の時間を主体的にコントロールできること」です。周囲が起きだしてくれば、あわただしい一日が始まります。けれどもその前に少しだけでも自分のために時間を費やしてあげることによって、私は大きなパワーを得ているのです。

 (2009年8月3日)

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

END