INTERPRETATION

元気の出る朝食

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 通訳者にとって必要なのは英語力、日本語力、知識量、度胸・・・。いろいろ挙げられますが、忘れてはならないのが体力です。集中力を要するこの仕事、通訳している途中に息切れしてしまい、スタミナ不足に陥ってしまっては、せっかくの準備も水の泡です。中でも大事なのが一日の元気の素となる朝食。そこで今回は朝ごはんに関するお話です。

 独身時代のころの私は栄養の知識もなく、いい加減な食生活を送っていました。食べる量を増やせば太るとばかり、控え目に控え目にと心がけていたのです。甘いものは好きだったので、デザートを食べたいがためにおかずを控えたこともしょっちゅうでした。かなりの本末転倒ですよね。かつてイギリスにいたころ、「夕食は野菜サンドイッチ、ミートパイ、スコーン」という私の話を聞いた婚約者は、あきれ返っていました(ちなみに今の夫です)。

 当時の私は毎回の食事量をそこそこに抑えつつ、スポーツクラブで定期的に運動もしていました。しかしなぜか体重計の針はびくともせず、同じ数字を示し続けていたのです。「もっと食事の量を減らさないといけないなあ」と思いつつ、甘いものへの未練を断つこともできず、常に食べ物への欲求不満がありました。また、夕方になると低血糖に陥ってしまい、ふらふらすることもしばしだったのです。

 それから時間が経過すること10年。実は今年に入ってから体重を5キロ落とすことができました。ジョギングを始めたのも大きかったのですが、食生活を抜本的に変えたことが成果をもたらしたと考えています。とりわけ朝食にウェイトを置く大切さを学びました。

 わが家の朝食は、トースト、ソーセージ、スクランブルエッグ、野菜、フルーツヨーグルトの5点が基本形です。独身時代の私が「紅茶一杯、トースト1枚」で済ませていたのと比べれば、今がかなりの量であることがわかります。しかし、昼食までに空腹感を抱かないようにするためには、朝食でこれぐらい食べる必要があるのです。

 最近は国を挙げて「食育」に力を入れています。みなさんも「栄養バランスガイド」というコマのような形のイラストをご覧になったことがあるのではないでしょうか?健やかに生きるために必要なのは、私たちを作ってくれる食事です。次回は我が家の朝食をどのようにして短時間で準備するか、お伝えします。

 (2009年6月29日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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