INTERPRETATION

5キロマラソンに参加

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

  3月7日土曜日、私は埼玉県鴻巣市で開催された第27回鴻巣パンジーマラソンに参加しました。マラソン参加は人生で2度目。初参加は昨年秋の地元マラソンです。その時は3キロ部門に出場しましたが、今回は5キロ部門にチャレンジしました。

 秋よりも2キロ多い5キロマラソンですので、自分なりのトレーニングを組み立てて実行することにしました。そして、試行錯誤をしながら続けてみてわかったこと。それはマラソン出場と英語学習における3つの共通点だったのです。早速見てみましょう。

(1)毎朝少しずつ走る

 今年の新年に私は「ジョギングを今年中に100回は続ける」という目標を立てました。以前のコラムにも書きましたが、100回に設定したのは、ちょうど達成しやすいキリの良い数字だからです。「毎日やる」と決めてしまうと、できなかった日が続いた場合、ダメージが大きすぎます。あるいは「今年はジョギングをがんばる」という考え方では具体的な数値目標がないため、どこまでがんばればよいのかわかりません。けれども「100回」であれば、3日に1回でも年内に達成することは可能です。この100という数字に私はこだわり、毎朝走るように心がけたところ、かなり習慣化されてきました。

 ちなみに心理学では、21日間続けてようやくそれが習慣化されるのだそうです。ジョギングにせよ英語学習にせよ、21回続けて初めてそれが自分の日常生活のルーティンの中に入って来るのです。私の朝のジョギングは、英語トレーニングで言うならば、シャドウィングや音読など、コンスタントな基礎訓練に相当すると思います。

(2)筋トレも行う

 ジョギングのほかに、私はスポーツクラブで筋トレも行いました。ただ、私の場合マシンで黙々とやるのは苦手なので、筋トレのクラスに週2回出るように心がけたのです。幸い、音楽に合わせたクラスなので、毎回出るのが楽しく、仲間も増え、お互いに励まし合って続けることができています。

 筋トレは体の筋肉をしっかりと鍛えるトレーニングです。英語学習なら単語・文法力アップでしょう。シャドウィングは音だけをとらえて反復する練習ですが、基礎体力の単語や文法力が不足していると、総合的な英語力を向上させることはできません。スポーツ選手が有酸素系運動と筋トレを両立させるように、英語学習においても反復練習と単語・文法力の訓練が必要だと思います。

(3)栄養面に気をつける

 今回マラソン出場で心がけたのは、日頃から栄養や食事を意識することでした。実は私の場合、ほんの少し食べ過ぎるとすぐに体重に反映されるという体質で、そのたびに劇的に落そうといい加減なダイエットに挑んでは失敗することを繰り返してきたのです。重さにしてわずか1〜2キロのことなのですが、「1キロ増えた!わ〜落とさなきゃ!」と食事を抜いたり、ローカロリーのものばかり口にしたりといったことをやってきました。

 しかし、こうしたいい加減な知識に基づくダイエットで確実に痩せることはできないとようやく実感したのです。それでネットや書籍、ポッドキャストなどを通じて栄養と食事に関する知識を仕入れました。そしてわかったのは、「バランスよく食べる」「血糖値が下がるまで空腹になってはいけない」「食事を事前に計画する」の3点だったのです。

 つまり、いろいろな種類のものをバランスよく食べれば、満足感も出てきますし、空腹で飢餓状態になる前にほんの少しだけ何かをつまめば、ドカ食いも防げます。一週間の献立をあらかじめ考えておけば、肉や魚のバランスもとれるというわけです。

 以前の私は3食にこだわり、間食を避ける分、一食あたりの量が多かったと思います。しかし、少しずつつまむようにすることで、ドカ食いは確実になくなりました。しかも通訳現場で休憩の際、ゆで卵やミニチーズ、人参スティックなどを口にするようになったおかげで、6時間のハードなシフトも体力低下を感じずに乗り切れるようになったのです。これは大きな発見でした。

 スポーツも英語も、要はトレーニングをどのように組み立てて行くかです。そのときに必要となってくるのは、目標設定と正しい知識、そして計画でしょう。私は6月にも5キロマラソンに参加します。上記の3点を意識しながら、トレーニングを積んでいくつもりです。

 (2009年3月23日)

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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