INTERPRETATION

施設名

木内 裕也

オリンピック通訳

スポーツの通訳をしていて、意外とチェックし忘れがちなのが、競技が行われている会場の名称です。特に日本であまり知られていない競技だと、日本のメディアもあまり競技に詳しくないことが多く、「○○競技場の環境はどうですか?」など、非常に一般的な質問が投げかけられます。もちろん、How is the condition of the track?とか、How is the condition of the turf?などと訳してもいいですが、「施設名、チェックし忘れた!」と罪悪感が残る訳となってしまいます。そこで、今回はオリンピック会場となる施設をいくつかご紹介します。

国立競技場は一般名称としてNational Stadiumと呼ばれます。代々木にある国立競技場は「新国立競技場」という意味でNew National Stadiumと呼ばれたり、Olympic Stadiumと呼ばれたりします。実際に完成する前は、古い国立競技場がNational Stadiumと呼ばれ、建設中のものがNew National Stadiumと呼ばれていましたが、今では新しい国立競技場をJapan National Stadiumと呼んでいます。

国立競技場の近くには、東京体育館があります。Tokyo Metropolitan Gymnasiumと呼ばれます。事前に名称をチェックしておかないと、Metropolitanを付け加え忘れそうですね。そのまま訳せば良いのは、大井ホッケー競技場(Oi Hockey Stadium)、東京国際フォーラム(Tokyo International Forum)、海の森クロスカントリーコース(Sea-forest Cross Country Course)など。

Jリーグや昨年行われたラグビーワールドカップなどで使われた競技場は、比較的馴染みがあるかもしれません。ラグビーワールドカップの決勝戦が行われた横浜国際総合競技場はInternational Stadium Yokohamaと呼ばれます。イベントによっては日産スタジアム(Nissan Stadium)と呼ばれることも多いですが、スポンサーの関連や、主催団体の規則などで、どちらの名前が使用されるか決まります。埼玉スタジアムは正式には埼玉スタジアム2002と呼ばれ、英語名もSaitama Stadium 2002です。宮城スタジアムはMiyagi Stadium。かつては「ひとめぼれスタジアム宮城」と呼ばれていましたが、今では命名権が変わって「キューアンドエースタジアムみやご」とも呼ばれます。しかし、日産スタジアムと同じように、オリンピックでは「宮城スタジアム」の名称が使われます。札幌ドームはSapporo Domeです。

会場によっては、「どうやって訳せばいいのだろう?」と悩みそうですが、実は日本語がそのまま使われている会場も。日本武道館はNippon Budokanですし、国技館もKokugikan。馬事公苑など、Horse….と悩みそうですが、Bajikouenです。

競技の通訳を担当することになったら、開会と閉会の会場、そして競技が行われる会場(複数あるならそれらの会場)の名前くらいは覚えておきたいものです。それ以外については一覧表を作って持っていると便利です。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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