INTERPRETATION

オリンピック基本用語

木内 裕也

オリンピック通訳

通訳をしていると、難しい専門用語を一生懸命に覚えようとしますが、逆に基本的な単語で躓いてしまうこともあります。例えば、化学の難しい単語や概念を意識するのもいいですが、そもそもスピーカーの所属である「研究所」がResearch centerなのかLabなのかといった部分で間違えてしまうと、非常に悔しいものですし、言い訳もできません。

今回は基本中の基本ともいえる単語を復習してみましょう。

まず、オリンピック。The Olympic GamesやThe Olympicsです。複数形であることに注意してください。もともとはOlympian Gamesと呼ばれ、「オリンピアンの競技」という意味でした。Olympiaはギリシャの都市。皆さん御存知の通り、オリンピックには色々な競技があります。ですから複数形です。五輪のマークはThe Olympic emblemやThe five-ring Olympic emblemと言われます。ここでのOlympicは形容詞ですから、複数形の名詞にはなっていません。

すでに過去の記事で解説をしましたが、オリンピックには色々な委員会があります。非常に重要なのは国際オリンピック委員会。IOCという略はきっとニュースなどでよく耳にされているでしょう。International Olympic Committeeの略。IOC委員はIOC memberですし、IOC理事会はIOC Executive Boardです。オリンピック組織委員会はOOCです。Olympic Organizing Committeeのこと。そして、各国にNOCと呼ばれる委員会も存在します。National Olympic Committeeのことです。これらのNOCが集まった組織が「各国オリンピック委員会連合」と呼ばれる、ANOC(Association of National Olympic Committees)です。

IOCやNOCのように、オリンピックを統括する機関に加えて、それぞれの競技を統括する機関もあります。サッカーであれば国際サッカー連盟。その下に、日本サッカー協会が存在しています。これらの競技連盟も重要な役割を果たします。各スポーツを統括する国際団体はInternational Sports Federations(IF)と総称されます。そして各国の国内競技連盟はNF(National Federations)です。これらの組織はIOCから独立しています。しかしIOCから認定された団体として機能するために、オリンピック憲章などに沿った団体であることが求められます。

オリンピックでは様々な競技に関心が行きますが、同時に開会式や閉会式も人気です。これらのイベントのチケットは非常に高価になると言われます。開会式はOpening Ceremony。閉会式はClosing Ceremony。これらのセレモニーでもそうですし、大会開始前から、聖火も大きな関心の的となります。聖火はOlympic flameやOlympic torchと呼ばれます。聖火リレーはTorch relay。聖火ランナーはTorch runnerです。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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