Universal design
Ismと聞いて、何を指すかお判りでしょうか? Racismと聞けばイメージが沸きますね。Sexismであれば性差別。Racismは人種差別。Ismは様々な差別を総称する用語として使われています。Ageismは年齢差別。「○○歳だから、雇用の機会は与えません」などというのはAgeismにあたります。
パラリンピックに関わる部分で特に関係するのがAbleismです。もしかすると、初めてこの単語を耳にするという人もいるのではないでしょうか。Ableというのは、be + able + toと学校で学んだとおり、「○○ができる」という意味の表現で、Canと似た意味を持ちます。Ableを基にしたIsmですから、何らかの障がいを持つ人々に対する差別を指します。
ちなみにかつては「能力主義」という意味でこの単語を英訳として使ったという言及もありますが、そのような誤用は特に今日の英語圏ではありません。「非障がい者優先主義」と訳されたりします。
この概念と非常に関係深いのは、Universal designです。例えばエレベーターの中を考えて下さい。ドアの近くにあるボタンの中には、車いすでも押せる高さのボタンがあると同時に、高層階のボタンには手が届かない、ということもあるでしょう。その為、腰位の高さに、もう1セット、行先階を示すボタンがあったりします。このように2つを用意することはUniversal designではありません。1つで誰でも使えるものがUniversal designです。歩道に昔からある、黄色い点字ブロックはUniversal designにより近いでしょう。
街中で幅が10メートル以上あるような広い階段を見たことはありますか? 道路から、どこかの展示場に向かう道であるかもしれません。多くの場合、その階段の1段の高さはそれほど高くなく、そこに腰をかけたりできることもあります。ただ、車いすだとこの階段を上ることは出来ません。そこで脇にスロープを設けていることがあります。しかしこれもUniversal designではありません。逆に階段の中に斜めのスロープを入れることができれば、それはUniversal designになるでしょう。
別のAccommodationを用意することは、何もAccommodationがないよりは良いですが、望まれるのは一緒に生きることのできる世界と言われます。Ableism自体は、Accommodationを整えることで解決される、という考えもあるでしょう。しかし本当にAbleismをなくすための一環として必要なのがUniversal designです。
火災報知機であれば、音だけではなく光でも火災を教えてくれる必要があるでしょう。車椅子で入れるトイレが充分に備えられているでしょうか?ある日本のスポーツリーグでは、一定数のトイレの数が競技場にないと、そこで試合ができないことになっています。そしてその数に洋式トイレの数しか含まれません。和式トイレは含まれないことになっています。これもAccommodationの一例です。国際大会を控えるに際し、このような議論に通訳者が入ることもありますし、少し気を払うだけでも色々と気づくことがあるのではないでしょうか。
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