新学期を控えて
ミシガン州立大学は9月2日から2009年〜2010年の授業が始まります。Assistant Professorとして授業を教えることになり、今はその準備に追われています。これまではIntegrative Arts and Humanities(IAH)という学部の授業を教えていましたが、この秋からはWriting, Rhetoric, and American Cultures(WRAC)の授業を担当します。American Culturesと複数形になっていることから分かるとおり、アメリカ文化の多様性に重点を置くアメリカ研究(American Studies)を教える学部です。また学部生にとって卒業要件の一部となっているWriting Requirementの授業を教えるのもWRACです。
この秋はWRACの授業を3つ担当します。月曜日、水曜日、金曜日の朝はPreparation for College Writingという授業。これはSATという大学入学のための共通試験でWritingのスコアが低かった学生に課される授業です。大学レベルでの論文を書くトレーニングを行います。この授業をパスしないと、他の授業を履修することはできません。文法や単語の選択のレベルで壁にぶつかっている学生もいますが、それよりも学術論文を書くための基礎知識が不十分な場合も多くあります。従ってこの授業ではとにかく繰り返し書き、推敲を重ねます。実際にどのようにしてWriting Skillsの向上を行っているかは、別の週に書こうと思います。これは日本人にとってもきっと有効なトレーニングなはずです。
火曜日と木曜日にはやはり午前中にScience and Technologyという授業を教えます。日本語にすれば「科学技術」ですが、内容は科学や技術の社会的価値や重要性で、それぞれの科学技術の内容を学ぶわけではありません。例えばインターネットがどう機能するかを学ぶのではなく、インターネットが私たちの生活にどのような影響を与えているか、また私たちの思考がどう変化したかなどを考えます。今まで考えたことの無かったことを考える、という思考のトレーニングともいえます。
先日は教員向けのオリエンテーションに参加してきましたが、そこで学んだのはこの秋に新入生として約450人の中国人学生がミシガン州立大学に入学するという事実です。州立大学の多くは州内に住所を持っている学生をIn-state Tuitionとして学費が安く設定されています。それに比べて別の州に住所があってミシガン州立大学で勉強する学生や、留学生の学費はそれよりも高く設定されています。州立大学は州の税金で運営されているので、州の住民であるか否かが重要なポイントとなります。アメリカ全体の景気が低調なため、別の州からMSUに通おうとする学生を見つけるのは容易なことではありません。多くの学生はたとえ大学の近所に住んでいても寮やアパートに住みますからその点は特に大きな障壁になりませんが、学費が割高になるのは大きなネックです。しかし中国からMSUに留学しようとする学生の数は増加傾向にあるようで、割高な授業料でも支払ってくれるこのような留学生を多く入学させることが大学にとっては利益を生むようです。多くの学生はすぐに大学の授業を履修することはできず、ELSに通ったり、様々な授業を履修してからMSUの授業を受けることができます。ある意味では多くの大学にとって留学生をいかに惹きつけるかが大きな関心事となっているようです。
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