ミシガン州の経済
なかなか「ミシガンは全米でこれが1番だ」と誇れるものが少ないのですが、ミシガン州の失業率は15%を超え、(誇れることではありませんが)全米トップを走っています。もちろんGMの本社やFordの本社があり、そういった大きな自動車会社が解雇や契約中止を行っていることも影響がありますが、周囲を見回してみるとその様な大きな自動車会社に部品を納入している会社に勤めていて、職を失った人も少なくありません。審判仲間には、自動車関連の会社からここ1年半で3回解雇された人までいます。また夏の休暇などが自由に取れなくても、「仕事があるだけいいよな」といった雰囲気もあります。
職が無ければ、ミシガン州から出て行く人も多くいます。この1年間だけで、数万人が失業を理由にミシガン州を離れたという統計もあります。大企業が不振で、失業者が増え、人口が減れば自然にミシガン州の財政も厳しくなります。そうすると、ミシガン州立大学などのような州立大学は予算カットになります。新学年を寸前に控えてはいますが、まだ一部は予算案が通過していないものもあるほどで、私もどの授業を秋に担当するのか、もしくは授業を教えるのかどうかすらはっきりしない状況です(授業を担当しない場合には、研究のみをおこなうことになります)。幸運なことに今のところ学生の数に減少傾向は見られないので、授業を行う必要はあるのですが、少人数の授業を行うよりも大きな講堂で授業を行うほうが、教員数が少なくて済みます。そこで大学の利益は多くなります。その結果、1クラス300人、といった授業の数が増加する傾向にあります。予算が限られればTenure Trackと呼ばれる終身雇用ルートの教員採用は減少し、Part-timerの教員が増えます。アリゾナ州などでは、Tenure Trackの教員ですら解雇の対象になったと聞きます。
経済悪化の影響で、Foldという言葉をよく耳にするようになりました。「折りたたむ」という意味の単語で、例えば手紙で「折り曲げ厳禁」と封筒に書きたい場合はDo Not FoldやDO Not Bendと書きます。日本語でも「店をたたむ」というように、Foldも同じように使います。ミシガン州には室内サッカーのプロチームがあるのですが、そのチームは近いうちに経済的理由で解散するようです。そんなときにも、Did you hear that they decided to fold?とFoldが使われていました。もちろん、Going Bankrupt(破産する)というのとほぼ同じ意味ですが、それよりはやややわらかい表現かもしれません。
これは個人的な観察でしかありませんが、学生数が減少していないなか、MSUの学生を対称にしているビジネスは比較的順調なようです。もちろん学生の家族の多くは失業を経験したりしていますが、キャンパスで仕事をするなどして、何とかDisposable incomeを生み出しています。もちろん1人あたりの金額はそれほど多いわけではないでしょうが、46,000人の学生を誇る(全米8番)大学で、夏以外は継続的に学生が生活しているので、トータルではかなりの金額になるでしょう。学生用のアパート、5ドルから8ドルで食事のできる安いレストラン、バーなどはいつも人がたくさんいます。他の業種と比較してやや順調な業種の1つといえるでしょう。
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