INTERPRETATION

「博士号取得」

木内 裕也

Written from the mitten

 4月17日に博士論文の口答試験が行われ、無事に博士号取得に関わる全ての要件を満たすことができました。試験の3週間前に論文を指導教授4名に提出し、当日は朝9時から試験が行われました。試験には誰でも参加することができ、指導教授4名と私の5名に加えて、8名の参加者があつまりました。そのうちの4名は大学院の友達で、私の応援のために来てくれたのと同時に、それぞれ来年や再来年に同じような口答試験を控えているのでその様子を見る目的もありました。残りの4名は審判仲間で、全く学術関係のつながりは無い学部生ですが、Kimberlyとその妹のJamieの2名は朝5時に起床し、6時に自宅を出発して駆けつけてくれました。残りの2人(NicholeとKristen)はミシガン州立大学の学生ですが、朝の授業をサボって私の応援に来てくれました。「試験の内容はぜんぜんわからないけど、博士号を取得する2時間の最後の過程には絶対に参加したい」と言ってくれました。

 試験は15分間程度のプレゼンテーションで始まりました。指導教授がIntellectual Journeyと呼ぶ、これまでの軌跡を簡単に説明し、その後は博士論文の概要を短くまとめました。指導教授の4名は何度も博士論文を読んでいますので、一般参加の人々のためにまとめたプレゼンテーションです。また、500ページの論文を2ページにまとめた概要も配布しました。その後は1時間半に渡って、4名の教授から様々な質問を受けました。口答試験はDissertation Defenseと呼ばれます。その名の通り、自分が博士論文(Dissertation)で書いた内容をDefendしなければなりません。したがって単純に不明確な点に関する質問に答えるだけではありません。

 約1時間半に渡って指導教授の試験を受け、それに答えた後、私と応援に来てくれた友人は会議室から出なければなりません。約5分間に渡って指導教授4名で話し合いを行い、試験結果を決めます。その後私だけが部屋の中に呼ばれ、結果を伝えられます。そして他の参加者の前で最終結果が発表されます。

 11時少し過ぎに無事に試験が終了し、その後は他の友人を含めて12名で大学近くのレストランに食事に行きました。試験終了後は人それぞれ色々な過ごし方をするようですが、私は昼食の後、口答試験を見に来てくれたKimberlyが30分くらい離れたところで試合の審判があったので、やはり同じように試験に来てくれた友人のNicholeと一緒に見に行くことにしました。一番リラックスのできる午後の過ごし方でした。

 この後は博士論文の最終版を提出用に印刷し、大学に提出します。これは大学の図書館に保管されるので、普通の紙ではなく、コットンが混ぜられた特別な紙で劣化防止がされています。卒業式で着るRegaliaと呼ばれる特別のガウンも手元に届いています。それを着て、5月8日に卒業式です。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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