INTERPRETATION

「自動車保険」

木内 裕也

Written from the mitten

 先日、日本からアメリカに戻ってくると、駐車場においてあった私の車にぶつけられた跡がついていました。運転席側の後部座席のドアと、後ろのバンパーにかなり目立つ傷と凹みができていたのです。この時期は頻繁に除雪車が走っていますから、場合によっては除雪車が私の車に少し近づきすぎたのかもしれません。かなり目立つダメージですし、そのままにしておくと雪を溶かすために撒かれている岩塩などですぐに車体がさびてしまいますから、修理に出すことにしました。

 まずは保険会社に電話をし、状況の説明をしました。どこかの修理工場に行って見積もりを出してもらうように伝えられたため、近所の修理工場2箇所に向って、見積もりを出してもらいました。どちらの場合も2000ドルを少し超える程度の金額でした。今度はその金額を保険会社に提示し、実際に修理をお願いすることにした工場の連絡先などを伝えました。今度は保険会社の人がその修理工場に出向き、私の車を直接確認し、改めて保険会社から連絡が届きました。

 その時の説明では、「自動車の横と後ろに傷がついているので、別の事故扱いになる」と伝えられました。私と保険会社の契約では、修理金額が500ドル以内の場合は保険会社の支払いが発生しないことになっています。つまり、500ドルを超えた分を保険会社がカバーし、500ドルは私が払うということです。別の事故扱いになった場合、この500ドルまでの制限が2度適用され、私の負担分が1000ドルになることが考えられました。

 事故が起きれば、特に凍った路面の場合は最初にぶつかった場所以外にダメージが発生することもある、などと交渉し、なんとか500ドルの適用は1度で済むように話をつけました。それ以外の部分は全て保険会社がカバーすることになりました。

 数年前にアメリカで手術をした時も、やはり保険会社とかなり交渉をする必要がありました。病院からは8000ドル位の請求があり、保険会社からは「既往症のため保険の適応外」という返事。私の大学が契約をしている保険会社は、「出産でも交通事故でも既往症扱いになる」と笑い話がなされるほど「既往症」という言葉を頻繁に使う会社ではあるのですが、それでも手術後に保険会社と交渉することになるとは思いませんでした(手術前には保険対象であることが確認されていたので)。1年以上の交渉の結果、何とか数百ドルの負担で済んだのですが、十分に気をつけないといけません。

 私の自動車はまだ修理工場の中ですが、やはりアメリカ中西部で車が無いのは不便です。アメリカの子供たちが何か悪いことをして、親から「明日まで友達の家に遊びに行ってはだめ」と外出を禁止されると、I am grounded.と表現しますが、そんな気持ちが良く分かるようです。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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