INTERPRETATION

「金沢出張」

木内 裕也

Written from the mitten

 短い日本帰国のうちに、石川県金沢市で行われた会議に出張してきました。2年に1度、この時期に行われる会議の通訳で、ここちょうど冬の一時帰国のタイミングとあうことから、数回を担当しています。2年前にもやはり同じ会議を大阪で担当し、その時の様子をこのブログでも紹介したことがあります。今年、一緒にブースで3日間を過ごしたのは、これまでに似た案件を一緒に行った先輩通訳者2名でした。仕事のことから、それとは全く関係のない話までに花を咲かせ、3日間に渡って非常に和気藹々とした雰囲気の中で仕事を行うことができました。

 また業務が終わると、「金沢出張」というよりも「金沢食い倒れツアー」と勘違いしそうな行動パターン。打ち合わせで前日入りをした日の夜は加賀料理、会議1日目はおでんとお刺身、2日目は寿司、3日目はステーキと、エンゲル係数の非常に高い、しかしとっても楽しい時間を過ごしました。日によっては、朝ブース入りして最初の話題が「今日の夕食は何にする?」ということも。

 この会議の特徴は会議の最初と最後に、同時通訳者の名前がパワーポイント上に大きく示されることにもあります。また今回は最終日の業務開始前にブース内の写真撮影があり、パワーポイント上で写真入で紹介もしていただきました。それに加えて会場内のビデオカメラでブース内で格闘している(?)様子も数秒間流れました。名前がスライドで紹介されるだけでも珍しいですが、写真やビデオまで使って紹介していただき、一層気が引き締まる思いがしました。黒子に徹する、とは言え、やはりうれしいものです。

 毎回スコットランドから参加する講演者は、非常に質の高いプレゼンテーションを行います。その中でも自分で編集して持ち込むビデオDVDは特に目を見張ります。この会議はサッカーの指導者講習で、そのDVDには様々な試合の、様々なシーンが映し出されています。それだけではなく、BGMとして流れる音楽の歌詞と映像が見事に合っているのです。ちょうど良い試合のビデオを見つけるだけでも相当の時間が掛かっているでしょうが、それを編集するのも大変な作業でしょう。彼のプレゼンテーションに対する意気込みが伝わってくる瞬間です。

 さて冬の時期に日本海側に向かうのは初めてでした。新幹線に乗って越後湯沢に向かうトンネルから出るとすぐに、一面の雪景色でした。金沢も途中で気温が上がって雨が降っていましたが、少しの積雪があり、日本の雪を久しぶりに経験しました。今回の帰国中の通訳案件は金沢出張で終わりです。アメリカにすぐ戻り、論文や研究中心の生活に戻らなければなりません。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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