「ABD!」
先日、Comprehensive DefenseとDissertation Proposal Defenseというミーティングが行われました。これは博士号取得の過程において非常に重要なミーティングです。前者は一般的にComp DefenseやOral Defenseと呼ばれます。このミーティングの前に3つの総合試験に合格し、その試験内容についてGuidance Committeeという指導委員会に属する4名の教授の試験に口答するのが目的です。私は去年の秋から今年の春にかけて試験を受験し、それぞれに合格しました。試験のテーマは個人の研究内容に合わせて、それぞれの学生が決めることになっています。私の場合はアフリカ系アメリカ人の歴史と文化、アメリカ都市部の歴史、大衆文化を試験の分野として選択しました。各分野の専門の教授の下でそれぞれ72時間にわたる試験を受けました。それぞれの試験で2問の設問が与えられます。解答はそれぞれ20ページから30ページの論文として提出します。72時間しかありませんから、不眠不休でも1時間に1ページのペースで論文を書かなければいけません。それぞれの分野の内容をきちんと理解していなければ、解答はできません。そしてその内容をおさらいする試験が、今回のComp Defenseです。すでに試験に合格しているので、やや形式的なところもありましたが、約30分かけて質疑応答を繰り返し、私が試験の解答として書いた内容を本当に理解しているのを確かめた後、4名の教授が合格を認めました。
Comp Defenseから引き続いて、より重要性の高いProposal Defenseが行われました。これは博士論文として書きたいと思っているテーマをまとめ(私のProposalは約25ページでした)、その内容が研究するに値し、限られた時間とページ数のなかで達成可能なものであることを示すのが目的です。約10日前にProposalを各指導教授に渡してあったので、それぞれの教授が疑問に思った点などを約45分間話し合いました。「なぜこの理論を使おうと思うのか」といった質問から、「もっとこの部分を強調するといい」というアドバイスまで、非常に意義深いミーティングでした。一連のやり取りが終ると、私は会議室を離れ、その間に教授陣が話し合いをします。Proposal Defenseという名が示すとおり、教授たちの前で自分の考えをDefend(守る)ことができないと、このミーティングには合格できません。試験結果としてはPass(合格)、Pass with Revision(条件付合格)、Fail(不合格)があります。約10分間の話し合いの後、会議室に呼ばれ、無事に合格が伝えられました。写真は合格を示す書類です。
実はProposalがこのミーティングで承認されるずっと前から、博士論文を書き始めていました。既に第2章まで書き終えています。合格する自信はありましたが、やはり実際に合格するとほっとするものです。これで博士号を取得するのに必要な要件はただ1つ、博士論文となりました。このように、全ての試験などに合格し、論文の執筆だけが残っている状況を、ABDと呼びます。All But Dissertation(残るは博士論文のみ)の略です。この夏は博士論文の執筆に集中です。そして丁度来年の今頃はDissertation Defenseという最後の関門を目の前にしているはずです!
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