INTERPRETATION

「春休み」

木内 裕也

Written from the mitten

 大学の春休みを利用して、ボストンに博士論文のリサーチに行って来ました。約3ヶ月ぶりのボストンはミシガンよりも気温が暖かく、非常に過ごしやすい10日間となりました。

 あるフランスの哲学者によると、休暇には2つの種類があるそうです。1つ目はRecreation(レクリエーション)。休暇を取ることで疲労回復をし、仕事に元気一杯で戻ることを目的としたものです。朝は遅くまでベッドの中で休息し、昼間は家でDVDを観たり、散歩をしたりする過ごし方です。もう1つはRelease(リリース)。日常生活の規則やしがらみから逃れることを目的としたもの。アメリカの大学生の「春休み」というと、フロリダなど暖かい地域に向かってパーティーをするというステレオタイプが付きまといますが、そんな風に普段はできないような大騒ぎをするのが2つ目の休暇。

 こう考えると、春休みを利用してリサーチをするというのは本当の休暇ではないような気もしますが、普段は授業を教えなければならないので、実際に個人の研究は休み中にするしかないのが現状です。今回はボストンの市内にある図書館を中心に資料を集めました。ボストンの市民図書館に値するBoston Public Libraryはとても大きな図書館です。一般の利用者はなかなか立ち寄ることのないスペシャルコレクションと呼ばれる、政府関連の資料、古文書などが保存されているセクションは、昔からの建物を使っているので重厚な雰囲気が残り、研究には最適な環境です。もしも観光などでボストンに立ち寄ることがあれば、是非お勧めのスポットです。本館は現代的な建物ですが、是非スペシャルコレクションも訪れてみてください。

 研究が中心ではありましたが、Recreationもすることができました。ボストンの街中を歩いたり、古本屋に立ち寄ったり。ミシガンで仲のいい審判仲間がボストン近郊の出身で、丁度ボストンに休暇で戻っていたため、一緒に食事にも出かけました。彼女はミシガンから片道14時間かけて、車で移動したそうです。次回ボストンに行くことがあれば、一緒に移動して、7時間ずつ運転しよう、と話をしました。

 かつてのルームメートとは、1泊でニューヨークにも行きました。現地で用事があったので、マンハッタン島から川を挟んで向かい岸に住む友人の家(厳密にはニュージャージー州ですね)に泊めてもらい、Releaseとまではいきませんが、楽しいひと時を過ごしました。

 残念ながら、資料集めに向かいたかった資料室の1つは保管施設の移動の為に訪れることができませんでした。近いうちにボストンに向かう言い訳にはなりますが…… それ以外はとても充実した春休みになりました。研究ははかどりましたし、友人にも会い、リラックスもできました。4月上旬までダラス、エジンバラと移動が続きます。そして4月の第1週末は最後の総合試験が予定されています。第2週はイリノイ州へ移動。忙しくなりそうな今後数週間に向けて、有効な春休みでした。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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