INTERPRETATION

「一時帰国を終えて」

木内 裕也

Written from the mitten

新年明けましておめでとうございます。前回の投稿で、既に2008年の目標と言えるべき内容を書いてしまったので、今週は年末年始の一時帰国で感じたことを記したいと思います。

 この時期に日本に戻ると、アメリカにはない日本ならではの習慣を味わうことができます。例えば年賀状。最近はメールで済ませる年賀状が増えていると聞きますが、それでもせめて年に1度、疎遠になった人と連絡を取り合うのはいいものです。私も帰国早々、年賀状の図柄を選んだり、宛先を印刷したりと、作業に取り掛かりました。アメリカでもクリスマスカードなどに家族の写真を挟んで送ることがありますが、その数は日本の年賀状の比にはならないほど少ないと思われます。

 アメリカでも最近は11月末の感謝祭が終わると、突然街中の雰囲気がクリスマスモードになりますが、クリスマスを挟んで同じ光景が日本で見られます。クリスマス本番は12月25日のはずですが、25日になるともうスーパーはお正月モード。あまった鶏肉やケーキが売られている程度で、売り場の大半は数の子、おせち料理の材料など、「賀正」シールの貼られた商品で埋め尽くされています。

 年末に帰国する楽しみには、忘年会もあります。アメリカでもそれに近いパーティーも行われますが、日本のようにどの居酒屋に行っても大混雑、というような規模ではありません。会社の部や課の忘年会、同僚との忘年会、同期入社の仲間との忘年会、大学時代の友達との忘年会、地元のスポーツクラブのメンバーとの忘年会、と連日連夜、忙しそうな人々が沢山目に付きました。私もそんな日本文化を味わうために、サッカーの審判仲間や、少年サッカーの指導者、学生時代の友達などと、何度かの忘年会の機会を持ちました。

 そんな忘年会に向かう人々の顔はウキウキしていますが、成田空港から家に向かう電車の中でよく気づくのは、夕方に帰宅しているサラリーマンの疲れた表情です。ぐったりと疲れた様子で、車内で眠っている人ばかりが目につきます。私が成田から自宅に向かうのは大体夕方の5時ごろですから、もっと遅くまで残業をしている人も沢山いるはずです。朝早くから夜遅くまで仕事をして、通勤時間も長く、有給休暇もなかなか取れない、という現実が垣間見える瞬間です。アメリカでも似た生活をしている人が沢山いますが、6時前に帰宅した後は家族とミニゴルフへ行ったり、レストランに行ったりすることもよくあります。「もう少し、車内の人々の顔が明るければなあ」と思ってしまいます。

 今週のこの投稿がアップされるのは、私がアメリカに戻って数時間が経った頃でしょう。今年もアメリカの最新の様子をお伝えしたいと思います。お楽しみにしていてください!

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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